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大きな背中の人って魅力的。
玄関出て戎の家寄って自転車とってから、後ろに乗り込む。
戎が前に座って、2人乗りで駅に向かう。
目の前には大好きな人の大きな背中。これはもう抱きつくしか無いでしょ。
腰に腕を回してギュッてしてから、背中に顔をこすり付ける。
「葵、苦しいから」
戎の匂い。匂いフェチだって改めて実感する。てか、戎の匂い限定のフェチってやつ?
でも、そんな中にも微かに香る香水の匂い。紗代の匂い。
なんか悲しくなって、腕に力込めたら、戎がギブギブっていいながら腕をペチペチ叩いてきた。
「あ、ごめん」
「いいよ」
俺ってこんな見た目だけど意外と力強いんだよね。変態来ても追っ払えるように鍛えてるし。
小さい頃におっさんに誘拐されかけてから、空手習って黒帯取った。
そのお陰で中学のときに変態退治できたし。
空手はもうやめたけど、今も時々腹筋と腕立てしてる。
腕の力緩めて、顔横にして片耳を戎の背中にくっ付ける。
小さく聞こえる戎の心臓の音に安心する。流石に自転車で寝たりしないけど、眠くなる。
そう思ってたら、駅について駐輪場に置いてから、ホームで電車待つ。
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