だいじゅうななわ「死になさい糞犬が!」
我は個の生を受けてこのかた、恐怖というものを感じたことはない。
だが、今我は目の前の少女に恐怖を感じていた。
我は確保した『食糧』をつれて誰もいない廃工場へと身を潜ませた。
そこで、『食糧』の方から身を差し出すと同時に喰べ始めた。
だが、その数十分後に我の予想だにしえなかったことが起きた。
我のことを探りだせるような『彼女』は一度として見た事がない。
故に我は今恐怖を感じていた。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
『貴様、なぜ』
「なんでここが分ったって?」
糞犬の言葉を遮り、私は怒りをあらわにこたえる。
「存在を消せるっていうのは確かにすごい技術ではあるけど、逆にうまければうまいほどその分違和感を残すんだよ。存在がないならその存在感が全く見えない場所を探ればいいってこと」
『そ、そんなことで』
「そんなことで分かるはずがない?分るんだよ。現にこうして私はお前の前にいる」
『ぐ!』
糞犬の後ろにはちゃんと『ソラちゃん』の姿も確認できた。だけど、不満そうな顔をしているのも見えてしまう。
精神汚染をされているのは明白。だけど、この糞犬を倒さないことには空を助けることは出来ない。
「さあて、じゃあ始めましょうか」
糞犬は自棄になったのか私へと突っ込んでくる。
でも、今の私には精神汚染は効かない。
避けはしたが頬に一筋の血が流れる。
「ふふ、何をしたのかしら」
『な!?』
私に精神汚染が効かないことに驚く糞犬。
「処刑の始まりよ。死になさい糞犬が!」
短い……。