だいじゅうごわ「そいつ、私を怒らせちゃったんだから♪」
もう、何でこんな雑魚の為に私が出ちゃったんだろうな~。
雑魚の討伐を終えてソラちゃんとわかれた場所に帰ってくると、ミリアちゃんが地面に落ちていた。
「ミ、ミリア!?」
チェチェンが慌ててミリアのところへ飛んでいく。私も後に続いていく。
「ミリア!ミリア!」
チェチェンがミリアに呼びかける。
「ミラ!」
「分ってるよ~。
彼のものを癒す聖なる炎よ、ここにあれ!リザレクションフレア!」
私の使える回復魔法を発動する。
すると、すぐに効果が出たのか、ミリアは目を覚ました。
「ミ、ミラ?それにチェチェンも……」
「ミリアあなた封印を?」
「うん……。でも、私でも無理だった……」
封印?どういうこと?
「それよりも……ソラを追って下さい。このままだと……このままだとソラは喰べられてしまいます」
「っ!?SS級?」
「うん……」
私は、話についていけなかった。でも……
「チェチェン。今すぐ、索敵を発動して!話は移動しながら聴く!」
「は、はい!」
私達は、飛んだ。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
プルーフとはすべての生物の負の想念とでも言うべき存在である。
精神を汚染し、心を黒くし、悪影響を振りまく害悪だ。
魔力を喰い成長する存在で、魔法でしか倒せない。しかも、生半可な魔法では傷すら与えることが出来ないということで、メルファント公国ではわざわざ魔法少女システムなんて言うものを作り上げて対抗している。
というのも、メルファント公国の住人である妖精たちの魔法はプルーフとの戦いには役に立たなかったのだ。だから、強力な魔法を使える存在を作り出すために魔法少女システムを作り出した。
そして、プルーフには強さに応じてランクが決められている。強さが上がるとその姿も変えていく為、弱いうちに叩くのが常識になっている。
でも、その中でもあり得ないと言われているのがSS級プルーフ。最悪の害悪であり最狂の災害。SS級はそもそもが思考することを覚えているものであり、その打倒すら不可能に近いと言われている。
SS級プルーフの最大の特徴は、接触した相手の思考の改変だ。汚染なんてレベルじゃないのだ。プルーフに喰べられることこそが思考の喜びと考えるようになるため、ただ、接触状態から脱して浄化魔法で精神を洗えば元には戻るがそれも大変な時間と労力になるのだ。
だから、SS級が出たら迷わず逃げろと言われるのだ。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
「つまりは、そのSS級ってのを倒さないと空を助けられないってことだね?」
「はい……」
ミリアが私、ミラこと赤染美海に対し、ソラが空であることを教えてくれた。
そう。そのSS級は私の世界でいちばん大切な人を喰おうというのだ。
「あはは、あははははははははははははは!」
「ど、どうしたの?」
「ああ、そのプルーフの馬鹿だなって」
そう、笑うしかなかった。だって、
「そいつ、私を怒らせちゃったんだから♪」
私は、誰もが凍りつくような笑顔でそう言った。