だいじゅうにわ「いよいよお出ましってか?」
その日は、朝起きた時から嫌な予感がしていた。
嫌な夢で目覚め、朝食時にはコップが割れ、登校時には雨に降られ、昼食は家に置き忘れた上に財布を忘れ、帰りには再び雨に降られた。
不幸という不幸が続くもんだから、やってられなくなって不貞寝をしようとしたんだが、ミリアに起こされてしまった。
「見回りに行くですよ~」
「今日は行きたくないんだが……。絶対に嫌なことが起きるって」
「関係ないですよ。仕事ですよ?」
「だよな~……」
突っ伏すしかなかった。
まあ、仕事だから行くしかないのだけれども……。
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やってきました街の中。
ビルの屋上位なら跳べば行ける。上から索敵する方が早いからね。
いつもは見回りながらやるんだが、今日はとことん不幸続きだし、歩けばコケまくった(変身した後な)。ミラに迷惑をかけるわけにもいかないから、今日ばかりは見回りをせずにやることになった。
「仕方ないですよ、ソラさん。そう言う日もありますって」
「そうなんだが、未だに嫌な予感が消えてくれないんだよ。何なんだろうな」
「さあ?とりあえず、ここからできることをやりましょう」
ミラは別れてやる方が危険だというから、ビルの上でひたすら感覚を研ぎ澄ませつつ、索敵用の魔法を発動させた。
しばらくして、小さな反応が出た。
「これは、標的じゃないけどやらないとね」
そう言って、ミラは飛んで行った。残念ながら、俺はまだ飛行用の魔法を習得できていない。
それに、発見したのは弱いプルーフのようだし、ミラだけでも問題ないだろ。
そう思い、索敵を再開しようとしたとき、ミリアが騒ぎだした。
「ソラちゃん!上ですよ!」
「上?上がどうした?」
「良いから避けるです!」
その言葉に頷き、俺は隣のビルに飛び移ると、大きな音と共に大きな黒い塊が降ってきた。
「おいおい、何でこんなのがいて策敵にかからない」
「上にいたのですよ。それに探していたプルーフならば、索敵くらいならかいくぐると思いますですよ」
っつうことは?
「いよいよお出ましってか?」
このとき俺は、ミラが戻ってくるまでは逃げるべきだったんだ。
こうして、最悪のプルーフと俺は出会ってしまった。