だいきゅうわ「もう一人ってどんな奴なんだ?」
目的地に向かう途中、俺はミリアにできる限りの情報を集めるために話しかけていた。
「もう一人の魔法少女っていったいどんな奴なんだよ?」
「資料でしか知らないので、あまり答えられることは多くないですよ?それでもいいですか?」
「もちろん。一緒に仕事する以上少しは知っていた方がいいしな」
まあ、本来は会ってから話をしたりして互いに信頼を深めるべきなんだろうが、魔法少女としての仕事がある以上そうそう時間がとれるわけでもない。
それに、基本的に魔法少女は自分の正体を明かさないそうだ。つまり、少女になる前の姿を知られないようにするのが普通であるから、時間を取るのも不可能に近い。俺だって、普段は学校があるわけだしな。
「良いですよ。ソラがそう思うのならそうなのだと思うのです」
こいつは男の時は空、少女の時はソラと呼ぶ。まあ、青年が少女になるなんて普通は思わないだろうからな、問題ない。普通は違う名前をつけるのだそうだ。
「彼女の名前はミランディア、通称ミラと呼ばれているのです。と言っても、本名ではないのであしからずなのですよ」
「んなこたぁ分かってるよ」
「続けますですよ?
ミラさんは魔法少女の中でもかなりの実力者なのですよ。対話までにかかった時間もたったの一年ですし、討伐したプルーフの数は職業魔法少女を凌ぐほどと言われているですよ」
ん?今、聞きなれん言葉が出たな。
「職業魔法少女って何だ?」
「それについては今日の探索が終わってからでもいいですか?もうそろそろ、目的地に到着なのです。時間が足りなくて困るのはソラなのですよ?」
「ああ、そうだな。すまん。続けてくれ」
「ハイです。
ミラさんはハッキリ言って、ソラほどの規格外なのです。女性ではあるのですが、魔法の使い方から何から何まで完璧にこなしているのです。つまり、かなりの実力者ですごい人なのです」
いや、話を聞いてればすごい人なのはわかる。だけどさ……
「結局のところ、どんな人なのかを聞けてねぇよ」
「あ、そうです。そうでした。
こほん。改めまして、ミラさんの性格なのですが、とても戦闘向きではないのです。でも、いざとなったら真っ先に動くようなタイプですね」
「なるほど。ある程度分かった。サンキューな、ミリア」
「ハイなのです♪」
そうこうしてるうちに、目的地へと辿りついた。そこには既に、真っ赤な髪色をした小さな女の子が待っていた。