お願いです、どうか私と婚約破棄してください
「お願いです、どうか私と婚約破棄してください」
第二王子ジークヴァルトの執務室で、リーナ・フォン・ハイデンは完璧な姿勢のまま頭を下げた。
背筋は真っ直ぐ。視線の角度は15度。両手は臍の前で重ね、右手が上。
王宮礼法指南役として6年。こういうときでさえ、所作だけは崩れない自分がいっそ恨めしい。
「……面倒だ」
ジークヴァルトは書類から顔も上げなかった。
「面倒、でございますか」
「手続きが煩雑だろう。父上への報告書、枢密院への届出、ハイデン家への賠償金の算出。誰がやるんだ、それを」
「私がすべて揃えますが」
「ならますます面倒だ。お前がいなくなったら、代わりに誰が外交晩餐会の席次を組む」
リーナは口を閉じた。
――6年間、一度も名前を呼ばれたことがない。
この人は私を「お前」か「礼法指南役」としか呼ばない。婚約者なのに。いや、だからこそ。
「勝手にしろ。ただし、私から破棄の手続きを切る気はない」
それが結論だった。
つまり、こういうことだ。
令嬢の側から婚約を解消すれば、ハイデン家の面子が潰れる。王子の側から破棄させるしかない。
だが王子は、私に興味がなさすぎて、破棄する手間すら惜しんでいる。
――なら、嫌われるしかない。
◇
翌日の昼。
リーナは中庭の東屋で、一人の近衛騎士と向き合っていた。
「粗相の仕方を、教えていただけませんか」
近衛騎士団副長オスヴァルト・レーヴェは、手にしていた訓練報告書を取り落とした。
「……今、何と?」
「粗相です。無作法。非礼。殿下の前で失態を演じて、愛想を尽かされたいのです」
オスヴァルトはリーナの顔をまじまじと見た。
王宮礼法指南役。
つまり、この王宮で最も正しい所作を教える立場の女性が、「粗相を教えろ」と言っている。
「……なぜ私に?」
「オスヴァルト様は、宮廷で最も礼法に疎いと評判ですので」
「それは褒められているのですか」
「事実の報告です」
リーナの表情は真剣そのものだった。完璧な姿勢、完璧な発声、完璧な視線の角度で、「粗相を教えろ」と言っている。
オスヴァルトは額に手を当てた。
「仮に。仮にですが。どのような粗相をお考えで」
「まず紅茶をこぼそうかと」
「……それだけですか」
「殿下の前で、わざと紅茶をこぼします」
オスヴァルトは3秒ほど黙った。
「リーナ嬢。失礼を承知で申し上げますが、紅茶をこぼしたくらいで婚約破棄をする王族はいません」
「しかし、礼法指南役が紅茶をこぼすのは重大な失態では」
「重大ではありますが、それは『あの人らしくないわね』で終わる類の話です」
リーナはしばらく考え込んだ。
「では、紅茶をこぼしながら、お菓子も落とすというのは」
「規模が大きくなっただけです」
「同時に椅子を倒す、というのは」
「それはもはや事故です。事故は粗相とは呼びません」
「……難しいものですね、嫌われるというのは」
その呟きが、妙に静かだった。
オスヴァルトは、この伯爵令嬢が6年間、王子のそばで一度も所作を崩さなかったことを知っている。晩餐会の席次、外交使節の出迎え手順、王妃の茶会の進行――すべてを完璧にこなし、そして一度も感謝されなかったことも。
「……本気ですか」
「本気です」
「なら、もう少しまともな作戦を立てましょう。紅茶では無理です」
こうして、近衛騎士団副長オスヴァルト・レーヴェは、自分でも理由のわからないまま、王宮礼法指南役の「婚約破棄作戦」の共犯者になった。
◇
作戦その1。
舞踏会で、婚約者以外の男性と親しげに踊る。
「オスヴァルト様、もう少し近づいていただけますか。殿下がこちらを見ているかもしれません」
「見ていませんが」
「……見ていませんか」
「王子殿下は、東の窓際で財務大臣と話し込んでおられます。こちらに背を向けて」
リーナは一瞬だけ唇を引き結び、すぐにいつもの表情に戻った。
「では、もう少し目立つように笑いましょうか」
「笑えますか?」
「礼法指南役ですので、適切な場面での微笑みは得意です」
「いえ、そういう笑いではなく。楽しそうに、です」
リーナは首を傾げた。心底わからないという顔だった。
オスヴァルトはため息をついた。
「……作戦1、失敗ですね」
「判定が早くありませんか」
「相手に見られていない時点で失敗です」
二人はホールの隅に移動し、壁際で並んでグラスを傾けた。
傍から見れば、十分に親しげだった。
ただし、二人はそのことに気づいていなかった。
◇
翌日、中庭の東屋で作戦会議。
オスヴァルトが用意したのは、紅茶のカップだった。
「まず、こぼす練習をしましょう」
「さきほど不可能と仰ったのでは」
「不可能と言ったのは作戦としてです。技術として習得しておく価値はあります」
リーナはカップを手に取った。完璧な角度、完璧な指の置き方。礼法指南役の手は、カップを持つために存在しているかのようだった。
「では、こぼします」
「どうぞ」
リーナはカップを傾けた。
ゆっくり、丁寧に、慎重に。
紅茶が弧を描いてこぼれ――ソーサーの上に、正確に着地した。
「……受け止めてしまいました」
「見事な受け止めでした」
「体が勝手に」
「わかります。私も斬りかかられると体が勝手に受けますので」
「同じでしょうか、それは」
「職業病という意味では同じです」
リーナは2度、3度と試した。そのたびにカップが微妙に角度を変え、紅茶はテーブルにもスカートにもかからず、行儀よくソーサーに戻った。
「……すごいですね、逆に」
「褒められている気がしません」
「褒めています。本気で。こぼせない才能というのは初めて見ました」
リーナが不意に吹き出した。小さく、こらえるように。
「笑いましたね、今」
「笑っておりません。咳です」
「嘘ですね」
「礼法指南役は嘘をつきません」
「では咳をしながら口元が上がるのは、どの礼法書に載っていますか」
リーナが真っ赤になった。
完璧な姿勢が、ほんの一瞬だけ崩れた。
◇
作戦その2。
殿下の前で、意図的に無礼な発言をする。
これは3日後の茶会で実行された。
前日の夜、リーナは一人で鏡に向かって練習した。
「殿下の服は似合っておりません」
声に出した瞬間、自分の心臓が跳ねた。
もう一度。
「殿下のお召し物は、少々……少々……」
駄目だ。「少々」の先が出てこない。
翌朝、中庭でオスヴァルトに相談した。
「どうしても完全な無礼が口にできないのです。『少々お似合いでない』が限界で」
「十分ではありませんか」
「あなたなら何と言いますか」
「私ですか? そうですね。『殿下、その色は壊滅的に似合いません。着替えてください』くらいでしょうか」
「……やはりこの方に頼んで正解でした」
「それは褒めていますか」
「事実の確認です」
当日。茶会の席でリーナは王子の正面に座り、深呼吸をした。
「殿下」
「何だ」
「本日のお召し物の色合いですが」
全身の礼法が悲鳴を上げているのがわかる。だが、やるしかない。
「少々、お似合いでないかと存じます」
沈黙。
ジークヴァルトがゆっくりとリーナを見た。6年間で初めて、まっすぐに。
「……そうか」
そして再び書類に目を落とした。
それだけだった。
茶会の後、中庭でオスヴァルトに報告した。
「申しました。『お似合いでない』と」
「それで?」
「『そうか』の一言でした」
「……それは無礼ではなく助言です、リーナ嬢。しかもかなり控えめな」
「これが限界なのです。『お似合いでない』を口にするだけで、手が震えました」
リーナは自分の手を見た。まだ微かに震えている。
オスヴァルトは笑いをこらえた。こらえきれずに、少しだけ笑った。
「すみません。いえ、笑い事ではないのですが」
「笑い事です。自覚はあります」
リーナがぽつりと言った。
「私は、人に嫌われた経験がないのです。正確に言えば、好かれた経験も、嫌われた経験もない。いつも、ちょうど良い距離にいただけで」
風が中庭の薔薇を揺らした。
「ちょうど良い距離」
「ええ。近すぎず、遠すぎず。必要なときだけそこにいて、不要になれば下がる。それが礼法指南役の理想です」
「それは」
「完璧な透明、です」
オスヴァルトは何も言えなかった。
代わりに、手にしていたハンカチを差し出した。
「泣いておられますよ」
「泣いておりません。風が目に入っただけです」
「風は吹いていませんが」
「礼法上、風が吹いたことにしてください」
オスヴァルトは黙ってハンカチを膝の上に置いた。
リーナはしばらくしてから、音もなくそれを取った。
◇
作戦その3。
偽の告白。
「オスヴァルト様」
「はい」
「殿下の前で、私に告白してください」
「……は?」
「偽の告白です。殿下が目撃すれば、さすがに怒るのでは」
「いくつか問題があります」
「どうぞ」
「まず、殿下がそもそも目撃する場所にいる保証がありません。次に、偽とはいえ告白の台詞を考えなければなりません」
「オスヴァルト様であれば、『リーナ嬢、剣を抜きたいほどあなたに惹かれています』などでよいのでは」
「それは告白ではなく脅迫です」
「すみません。告白の語彙が礼法書に載っていないもので」
「載せないでください今後も」
リーナが小さく笑った。その笑い方は、舞踏会の微笑みとは全く違った。ほんの少しだけ崩れていて、ほんの少しだけ温かかった。
「最後に」
「最後に?」
オスヴァルトは言いかけて、口を閉じた。
「いえ。最後のは、些細なことです」
「些細でないから言い淀んだのでは」
「些細です。礼法に則って、些細と判定します」
「礼法にそのような判定基準はありません。私が言うのですから間違いない」
二人は顔を見合わせた。
この1週間で、こういう会話が当たり前になっていた。
中庭の東屋が「作戦会議室」になり、毎日昼に顔を合わせ、粗相の計画を立てては失敗し、反省会をしては笑い合う。
リーナにとって、笑うのは新しいことだった。
礼法指南役としての微笑みは6年間で数千回。
でも、こんなふうに口元が勝手に緩むことは、一度もなかった。
変化は、リーナ自身より先に周囲が気づいていた。
午後の礼法教室で、若い侍女たちにカップの持ち方を教えているとき。
「先生、今日はなんだか楽しそうですね」
「そうですか? いつも通りですが」
「いつもより、少しだけ……やわらかいです」
リーナは一瞬だけ動きを止めた。
それから、いつもより丁寧にカップを置いた。
◇
結局、偽の告白は実行されなかった。
代わりに起きたことがある。
宮廷の噂が、先に走った。
『礼法指南役のリーナ嬢と近衛副長オスヴァルト様が、毎日二人でお茶をしているらしい』
『東屋で楽しそうにお話ししていたわよ。リーナ嬢が笑っているのを初めて見たわ』
『あの方、笑うとかわいいのね……』
噂というのは便利なもので、作戦より早く、作戦より正確に、宮廷中に広がった。
そしてついに、ジークヴァルトがリーナを呼び出した。
「近衛のオスヴァルトと親しいそうだな」
リーナの心臓が跳ねた。作戦がようやく効いた。
「はい、殿下。お親しくさせていただいております」
「……ほう」
「つきましては、婚約破棄の手続きを――」
「それとこれは別だ」
「別、ですか」
「お前の交友関係に口を出す気はない。ただし、婚約は政治だ。父上が決めたことを、私の一存では覆せん」
リーナは立ち尽くした。
嫌われることすら、許されないのか。
「もう一つ」
「はい」
「先日の茶会で言ったな。私の服が似合っていない、と」
「……はい」
「あれは正しい。次から事前に見てくれ。それがお前の仕事だ」
扉が閉まった。
廊下に出ると、少し離れた場所にオスヴァルトが壁にもたれて立っていた。
「駄目でした」
「……聞こえていました。壁が薄いので」
「粗相をしたつもりが、新しい仕事が増えました」
「それは確かに裏目ですね」
二人は並んで廊下を歩いた。
宮廷の誰もが忙しく行き交う中で、二人だけが目的もなく歩いていた。
「リーナ嬢」
「はい」
「作戦、やめますか」
リーナは歩きながら考えた。
「いいえ。やめません」
「それは婚約破棄のためですか。それとも」
「それとも?」
「……いえ。些細なことです」
「また些細ですか」
「些細というのは便利な言葉ですね」
「便利ではありますが、使いすぎると信用を失います。礼法書にそう書いてあります」
「書いてありませんね?」
「今、書き足しました。脳内の礼法書に」
オスヴァルトが笑った。
リーナも笑った。
廊下の窓から差す夕日が二人の横顔を照らしていたが、二人ともそれに気づかなかった。
リーナは少しだけ目を伏せた。
「おかしなものですね。婚約破棄されたくて始めた作戦なのに、破棄されないことがこんなに――」
言葉が止まった。
「こんなに?」
「いえ。何でもありません」
リーナはいつもの完璧な姿勢に戻った。背筋は真っ直ぐ。視線は15度。
ただし、その目が少しだけ赤かった。
◇
その夜、オスヴァルトは宿舎で天井を見上げていた。
1週間前まで、リーナ・フォン・ハイデンのことをほとんど知らなかった。
王宮の礼法指南役。完璧な所作。それだけの認識だった。
今は違う。
紅茶のこぼし方がわからない人。
「お似合いでない」を言うだけで手が震える人。
偽の告白の台詞が「剣を抜きたいほど」になる人。
泣いたことを「風が吹いた」とごまかす人。
そして一度も、誰かに「いてほしい」と言われたことがない人。
彼女が本当に求めているのは、「破棄」ではない。
――選ばれたいのだ。
透明ではなく、ちゃんと見られて、名前を呼ばれて、「いてほしい」と言われたい。
6年間、完璧な透明でいた人が、初めて「ここにいたくない」と声を上げた。
それは「嫌われたい」ではなく、「ちゃんと在りたい」の裏返しだ。
オスヴァルトは、自分の胸の奥にある温度に気づいた。
些細なことだと言った。
些細ではなかった。まったく。
◇
翌朝。
オスヴァルトはジークヴァルトの執務室の扉を叩いた。
「近衛副長、入室を許可願います」
「何だ」
「リーナ嬢との婚約を、破棄していただきたく参りました」
ジークヴァルトがようやく書類から顔を上げた。
「……お前が? なぜ」
「私が、この方を迎えたいからです」
沈黙が落ちた。
ジークヴァルトは初めて、まともにオスヴァルトの顔を見た。
そして初めて、まともにリーナのことを考えた。
6年間、隣にいた女性のことを。
「……俺はあの女に、一度も名前を呼ばなかったな」
「はい」
「不便だったか」
「不便以前の問題かと」
ジークヴァルトは長い息を吐いた。
そこに怒りはなかった。執着もなかった。ただ、薄い後悔のようなものが一瞬だけ通り過ぎて、消えた。
「手続きは枢密院を通せ。賠償金の算出は――」
「リーナ嬢がすでに全書類を揃えておられます。3日前の日付で」
「……準備がいいな」
「礼法指南役ですので」
ジークヴァルトは鼻で笑った。
「持っていけ。あの――リーナ嬢に、迷惑をかけたと伝えろ」
初めて名前で呼ばれたのが、最後の日だった。
でもそれで、十分だった。
◇
中庭の東屋。
いつもの場所に、いつものようにリーナが座っていた。
膝の上に礼法書が開かれていたが、ページは進んでいなかった。
オスヴァルトが歩み寄ると、リーナは顔を上げた。
「殿下が?」
「婚約破棄を承認されました」
「…………」
「書類は枢密院に回します。賠償金の算出書もお預かりしました」
リーナは数秒、黙っていた。
「作戦は、結局すべて失敗でしたね」
「ええ。全部裏目でした」
「紅茶もこぼせず、無礼も言えず、偽の告白も実行できなかった」
「最悪の作戦参謀でした」
「いいえ」
リーナが少し笑った。東屋の日差しの中で、その笑顔はやわらかかった。
「最高の共犯者でした」
風が薔薇を揺らした。
オスヴァルトは一歩、近づいた。
「リーナ嬢」
「はい」
「作戦の報告をしてもよろしいですか」
「どうぞ」
「先ほど殿下の前で、『この方を迎えたい』と申し上げました」
リーナの目が止まった。
「偽の告白を頼まれたとき、最後に言いかけたことがあります。些細だと言いました」
「覚えています」
「些細ではありませんでした」
オスヴァルトはもう一歩、近づいた。
「あなたは、紅茶をこぼす角度まで真剣に考える人です。『お似合いでない』を言うために前の晩から練習する人です。偽の告白を頼んでおいて、相手の気持ちを気にする人です」
「それは……」
「私はあなたの粗相の先生になるはずでしたが、結局一つも粗相を教えられなかった。代わりに教わったことがあります」
「何を」
「あなたの隣にいると笑えるということを」
リーナの唇が震えた。泣いているのか、笑っているのか、本人にもわからなかった。
「あなたは完璧な透明だと言いました。でも、私にはずっと見えていましたよ。舞踏会のとき、誰にも見られていないのに一人で所作を正していたあなたが。茶会のあと、空のカップに微笑みかけていたあなたが。作戦を報告しに来るとき、東屋に走ってくる足音が少しだけ速くなっていたことも」
「……見ていたのですか」
「見ていました。最初から」
リーナの目から涙がこぼれた。
6年間、一度も泣かなかった人が。
粗相一つできなかった人が。
初めての粗相が、泣くことだった。
「すみません。礼法指南役が人前で泣くなど――」
「今のあなたは礼法指南役ではありません」
「では何ですか」
「リーナです。リーナ・フォン・ハイデン。――私がちゃんと名前を呼びます。何度でも」
リーナは袖で涙を拭った。これも礼法違反だ。ハンカチを使わなければならない。だが、そんなことはどうでもよかった。
「……では、お聞きしてもよろしいですか」
「何なりと」
「婚約の手続きというのは、破棄と同じくらい面倒なのでしょうか」
オスヴァルトが笑った。穏やかで、少しだけ不器用な笑い方だった。
「破棄より面倒です。枢密院への届出、両家への挨拶、式次第の策定、招待状の作成――」
「なるほど。それでしたら」
リーナは涙の残る顔で、完璧な姿勢に戻った。
「書類の準備は、私がいたしますので」
今度は、泣きながら笑っていた。
「ただし、紅茶をこぼす可能性だけは否定いたしません」
「……こぼしてください。いくらでも」
◇
後日。
王宮の礼法教室に、新しい教本が一冊加わった。
表紙には几帳面な字で「礼法指南 補遺」と記されている。
最後のページを開くと、こう書かれていた。
『補遺第17条。完璧な所作の持ち主が、一つだけ粗相を許される場面がある。――好きな人の前で、泣くときである』
その横に、別の筆跡で書き足しがあった。
『および、紅茶をこぼすとき。署名:オスヴァルト・レーヴェ』
教本の余白は、少しだけ広い。
二人分の筆跡が、ちょうど収まるくらいに。
【作者から読者様へお願いがあります】
少しでも、
「面白い!」
「続きが気になる!」
と思っていただけましたら、
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