黒く光る命石
「ちっ。
......今日はここまでだ。次は、村ごと消す」
そう言い残し、グレイルは去った。
男性は去っていくグレイルの背中をただ見つめていた。
姿が見えなくなると、男性はメイサの元へ行く。
「今、直してやるから。
蒼薔薇の揺り籠」
地面から蔦が生え、メイサを囲む。
蔦の一番上には、蒼い薔薇が咲く。
少しずつメイサの傷は癒えてくる。
それから少し経つと、その傷は完全に癒えていた。
「うっ」
メイサが小さくうめき声をだし、目を開ける。
「......これは......」
メイサは、自分を覆う氷の蔦を見て驚き、固まった。
「よぉ、目覚めたか?メイサ」
男性はメイサに優しく微笑む。
「アイ、ビス?
あなたが、なぜここに?」
メイサは目を見開く。
アイビスと呼ばれた男性は魔法を解き、メイサの手を握る。
「ここからあいつの気配がしてな。
嫌な予感がしたから、スイレンと一緒に駆け付けたのさ」
メイサは体を起こす。
「グレイルは?」
「去った。
来るのが遅くなってすまない」
そういってアイビスは頭を下げる。
「強いわね。
私じゃ、歯が立たなかった」
メイサは悔しそうに顔をゆがめる。
「あいつは神だからな。
あれでも今は弱ってるんだぜ?」
その言葉を聞き、メイサは慌てて起き上がりアイビスの顔をまじまじと見る。
「半年前、俺たちは奇襲を仕掛けた。
......犠牲はデカかった。だが、弱らせることはできた」
「離れろ!!」
若い男性の声が割り込む。
次の瞬間、石がアイビスめがけて飛んできた。
「おっと、あぶねぇ」
投げられた石は、キャッチされた。
握られた二人の手には、力が込められた。
「何をしているのですか、メイサ様!!
その者は襲ってきた魔神族ですよ!?」
メイサは若い男性に目を向ける。
「いいえ。
この者は襲ってきた者ではありません」
男性は困惑した顔をする。
周りにいた村人たちもだ。
「この者は、私の......」
「げほっ」
メイサの話は一つの声により遮られた。
声のした方向を見ると、スミレが血を吐いていた。
「っ!?スミレ!!」
メイサの焦ったような声が、スミレが最後に聞いた声だった。
スミレの命石が黒く光る。
その光は、脈打つように強まり......
スミレは倒れ、意識を失う。




