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ギフテッド ハイスクール ~優等生の私のギフトはバニーガール、、、落ちこぼれから始まる少女の最強への成長譚~  作者: アキラ


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炎の魔女

入学から数日。

私は早くも、この学校における「絶対的な格差」を目の当たりにしていた。

この世界はシンプルだ。

「ギフトが強いか、弱いか」。それだけが序列を決める。

「次は第4レーン、カミムラさん。ターゲットの破壊をお願いします」

実技演習場。コンクリートで覆われた広大なドームに、教官の声が響く。

私が緊張で胃を痛めている隣で、よく通る、晴れやかな声が上がった。

「はい! 行きます!」

第4レーンに進み出たのは、クラスメイトの少女だった。

カミムラ ジュン。

腰まで届く鮮やかな金髪をなびかせ、堂々とターゲットの前に立つ。

その立ち姿には、微塵の不安も迷いもない。

(彼女、確か……)

私がデータを思い出すよりも早く、彼女は無造作に右手をかざした。

複雑な詠唱も、魔法陣の展開もない。

ただ、呼吸をするように自然に、魔力を解き放つ。

「――燃え尽きて」

ドォォォォォォォォォンッ!!

爆音などという生易しいものではない。

大気が悲鳴を上げ、視界が紅蓮に染まった。

演習場全体が一瞬で灼熱地獄と化す。

ターゲットだった強化セラミック製のゴーレムは、抵抗する間もなく融解し、蒸発した。

いや、ゴーレムだけではない。後方の何層もの防護壁すら、赤熱しドロドロに溶け落ちている。

(……嘘でしょ?)

私は言葉を失った。

魔法? 違う、あんなの技術じゃない。

ただの「災害」だ。

「あ……やっぱり、やりすぎちゃったかな」

煙が晴れる中、ジュンが困ったように眉を下げて戻ってくる。

彼女のギフトは**『炎熱支配』**。

出力制限なし。神の如き火力。

スミ・リョウガが「静かなる破壊」なら、彼女は「制御不能な太陽」だ。

彼女が席に戻る時、呆然としていた私と目が合った。

私は思わず目を逸らそうとしたけれど――

「あ! 東雲さん、だよね?」

捕まった。

向日葵のような笑顔が、私の目の前に迫る。

「あ、はい……」

「私、カミムラ・ジュン。ジュンって呼んでくれる? あのさ、さっきの座学、凄かったね! 黒板の魔法式、先生より早く解いてたじゃない?」

彼女の瞳は、純粋な驚きと尊敬で輝いていた。

距離が近い。物理的にまだ体温が高い。

けれど、そこには打算も嫌味も一切ない。あまりにも直球な好意。

「私、感覚で火を出すのは得意なんだけど、細かい計算とか制御がどうしても苦手でさ……。さっきも、本当はもっと弱く撃つつもりだったんだよ?」

彼女は「ははは」と乾いた笑いを浮かべ、自分の頭を掻いた。

「よかったら今度、コツを教えてくれないかな? このままだと私、施設破壊の賠償金で破産しちゃう」

「え、えっと……」

私は困惑した。

これだけの圧倒的な才能ギフトがあれば、私のような「ギフト不明の生徒」など歯牙にもかけないのが普通だ。

だが彼女は、自分の弱点(制御不足)をあっけらかんと認め、私に頭を下げている。

(……この子、本当に「裏表がない」んだ)

計算高い私とは正反対。

全てをさらけ出し、他者を疑わない明るさ。

それはそれで危なっかしいけれど、同時に――眩しいとも思った。

私は「優等生の東雲葵」として、小さく微笑んだ。

「もちろんいいわよ、カミムラさん」

「本当!? ありがとう! あ、呼び捨てでいいってば! 私もアオイって呼んでいいよね?」

「ええ、構わないけど……」

「やった! よろしくね、アオイ。お礼に今日のランチ、私が奢るよ! 美味しいパスタのお店知ってるんだ」

彼女は私の返事も待たずに、私の手を取った。

温かい掌。

拒絶しようがない、圧倒的な「陽」の引力。

(……ペースが狂う)

私はため息をつきつつも、握られた手を振りほどくことはしなかった。

私の隠している「バニーガール」の秘密も、「運」という確証のない能力も、彼女の圧倒的な光の前では、なんだか笑い話にできそうな気がしたからだ。

「ほら行こう、アオイ! 人気のメニュー、売り切れちゃうよ!」

手を引かれて歩き出す。

廊下ですれ違う生徒たちが、驚いたように私たちを見る。

最強の炎使いと、謎の優等生。

奇妙な組み合わせの友情が、ここに成立した。

けれど、私はまだ知らない。

この底抜けに明るい太陽との出会いが、私の「地味で平穏な高校生活」を、とんでもないトラブルへと巻き込んでいく導火線になることを。

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