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ギフテッド ハイスクール ~優等生の私のギフトはバニーガール、、、落ちこぼれから始まる少女の最強への成長譚~  作者: アキラ


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2/14

入学

春の陽射しが、校舎のクリスタルガラスに反射して眩しい。

国立ギフト育成高等学校。

ここは、選ばれた人間だけが足を踏み入れることを許される聖域だ。

私は新品のローファーを鳴らし、1年A組の教室へと向かう。

背筋はピンと伸びているはずだ。表情も、クールな才女を演じきれているはずだ。

けれど、内心は冷や汗で溺れそうだった。

(私がここにいるなんて、何かの冗談よ……)

入学試験の実技判定は「エラー」。

合格通知が届いた理由は、私の実力ではない。

あの日、やけくそで発動した「バニーガール化」が引き起こした副作用――**『強運』**だ。

たまたま試験官の機材が故障し、たまたま過去のデータが参照され、たまたま「未知数の有望株」として処理された。

運も実力のうち? 冗談じゃない。

私は、自分の能力と努力で、論理的に社会貢献がしたいのだ。

「運が良くて成功しました」なんて、私のプライドが許さない。

憂鬱な気分で教室のドアを開けた、その時だった。

「……うわ」

思わず声が漏れた。

教室の空気が、そこだけ切り取られたように異質だったからだ。

窓際の一番後ろの席。

そこに、スミ リョウガがいた。

息を飲むほど、美しい男だった。

気だるげに頬杖をついているだけなのに、まるで映画のワンシーンのように絵になっている。

少し長めの黒髪から覗く瞳は、夜の湖のように深く、冷たい。

整いすぎた顔立ちは、作り物めいていて、近寄りがたい神聖さすら感じさせる。

けれど、私の肌は本能的に粟立っていた。

彼の周囲だけ、陽の光が歪んで見える。

ただ座っているだけで、周囲の空間が微細に震え、魔力素が悲鳴を上げているのだ。

ギフト『魔王オーバーロード』。

破壊と支配の化身。

圧倒的な「美」と、触れれば消し飛ぶような「死」の気配が同居している。

クラスメイトの女子たちが、頬を染めながらも遠巻きに彼を見ている。近づきたいけれど、近づけない。本能が「捕食者」だと告げているからだ。

(あんなのが、同級生……?)

努力とか、勉強とか、そういう次元じゃない。

神様が気まぐれで作った「災害」だ。

私は自分の席に鞄を置いたけれど、手が震えて止まらなかった。彼と自分が同じ「人間」だとは到底思えなかった。

「……授業、始めるよ」

不意に、教壇から声がした。

私はビクリと肩を跳ねさせた。

いつから、そこにいたのだろう?

ドアが開く音もしなかった。足音もなかった。

まるで最初からそこの空気に溶けていたかのように、一人の男が立っていた。

担任、タイラ レン。

着崩したシャツに、眠たげな瞳。

一見すると、だらしない優男にしか見えない。

けれど、あまりにも「掴めない」。

彼を見ていると、距離感が狂うのだ。すぐ近くにいるようにも見えるし、遥か遠くの景色を見ているようにも見える。

まるで蜃気楼か、幽霊。

「出席は……まあ、いいか。ここにいるのが『縁』があった連中だろうし」

タイラ先生はあくびを噛み殺しながら、チョークも持たずに黒板の前に立った。

教育への情熱など微塵も感じられない。

「俺は細かいことは教えない。教科書通りの魔法が使いたいなら、AIにでも習えばいい」

先生の視線が、ふらりと宙を彷徨い、そして――

ふと、私の上で止まった気がした。

ドキリとした。

見られた、という感覚すらない。

ただ、私の心の奥にある「隠し事」の場所に、すっと冷たい風が吹き抜けたような感覚。

「……無理して力んでる奴がいるな」

先生は独り言のように呟いた。

「力を込めれば強くなると思ってるうちは、二流だ。……本当に強いのは、居つかない奴だよ」

「居つかない」?

どういう意味?

私が首を傾げていると、先生の視線はすでに窓際のスミ・リョウガへと流れていた。

スミ君もまた、興味なさそうに先生を一瞥しただけだ。

けれど、私には見えた気がした。

今、この二人の間で、目に見えない火花――いや、次元の断層のようなものが一瞬だけ衝突したのを。

(なんなの、この学校……)

美しい破壊者と、幽霊のような達人。

そして、その間で震えている、バニーガールの私。

私の「ギフテッド・ハイスクール」生活は、

期待とは程遠い、理解不能な混沌の中から始まった。

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