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ギフテッド ハイスクール ~優等生の私のギフトはバニーガール、、、落ちこぼれから始まる少女の最強への成長譚~  作者: アキラ


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覇王

期末試験の結果発表日。

中央ホールの掲示板前は、悲喜こもごもの声で溢れかえっていた。

「うわーっ! 赤点回避! ギリギリセーフ!」

「リョウガ君、現代文の点数すごい上がってる……奇跡か?」

カミムラ・ジュンとスミ・リョウガの声が聞こえる。

私は人混みをかき分け、掲示板の最上段を見上げた。

【学年首席(筆記部門):東雲 葵】

その文字を見た瞬間、張り詰めていた緊張の糸が少しだけ緩んだ。

勝った。

実技の点数は平均点より少し上程度(汎用ライフルでの得点)だが、筆記での圧倒的な貯金のおかげで、特待生の座は死守できた。

「やるじゃん、アオイ! やっぱり天才!」

ジュンが私の背中をバシバシと叩く。

私は苦笑いで答えた。

天才? 違う。

これは泥臭い努力と、睡眠時間を削った計算の結果だ。

私は「持たざる者」だから、こうして爪を立てて崖を登るしかないのだ。

その時だった。

ざわ……。

ホールの空気が、一変した。

まるで気圧が急激に下がったかのような、耳が詰まる感覚。

騒いでいた生徒たちが、潮が引くように左右に分かれ、道を作る。

恐怖ではない。もっと抗いがたい、生物としての「服従」の本能。

その道の向こうから、数名の生徒が歩いてきた。

制服の左腕に輝く、豪奢な腕章。

生徒会のメンバーだ。

そして、その中心に「彼」はいた。

生徒会長、オオクラ レイ。

「――皆さん、試験お疲れ様」

彼が微笑むと、ホール全体がぱあっと明るくなった気がした。

艶やかな金髪。陶磁器のように滑らかな肌。

その表情は慈愛に満ちていて、見る者すべてを包み込むような優しさがある。

けれど、私の本能が、全身の毛穴という毛穴を開いて警鐘を鳴らした。

(……逃げろ)

私の内なるギフト――あの臆病なウサギの本能が、かつてないほど激しく震えている。

あれは、捕食者だ。

それも、ただ殺すだけの獣ではない。

魂ごと飲み込み、自分の養分にしてしまう怪物。

「あ、東雲さんだね」

レイ会長の足が止まった。

彼は私を見下ろしていた。

身長差だけではない。

「生まれた場所」の高さが、決定的に違う視線。

「筆記試験、満点おめでとう。素晴らしい努力だね」

優しい声だった。

けれど、その言葉の裏には、冷徹な響きがあった。

『努力しなければならないなんて、可哀想に』という、持てる者特有の無自覚な憐憫。

彼のギフトは**『覇王』**。

自分より弱い者の活力を奪い、自身の糧とする能力。

そして、周囲の者は「奪われている」ことにすら気づかず、彼に陶酔し、彼の一部になれることに喜びすら感じるという。

「……ありがとうございます、会長」

私は必死に笑顔を作った。

だが、彼と向かい合っているだけで、体力が、精神力が、掃除機で吸われるように持っていかれる感覚がある。

(これが、生まれついての強者……)

私たちが必死に階段を一段ずつ積み上げている横で、彼は最初からエレベーターに乗って頂上にいる。

彼には「成長」という概念がない。

生まれた瞬間から完成されているからだ。

苦悩も、挫折も、自分の才能への疑念も、何ひとつ知らない。

「君のような生徒がいてくれて、僕は嬉しいよ。

その調子で、これからも学校のために尽くしてくれ」

彼は私の肩に手を置いた。

温かい手。

なのに、そこから私の魔力がごっそりと吸い上げられるような錯覚に陥った。

彼は「力を与える」リーダーではない。「力を奪い、統べる」支配者だ。

「行きましょう、会長」

取り巻きの生徒会役員に促され、彼は再び歩き出した。

その後ろ姿には、一点の曇りもない。

自分が正義であり、世界の中心であると疑わない背中。

「……はぁ、はぁ……」

彼が去った後、私は膝から崩れ落ちそうになった。

脂汗が止まらない。

「アオイ? 大丈夫? 顔色悪いよ」

ジュンが心配そうに覗き込んでくる。

彼女やリョウガのような「天才」たちは、レイの威圧感を感じても「すげーな」で済ませている。彼らもまた、強者の側にいるからだ。

けれど、私は違う。

私は弱者だ。

這い上がる側の人間だ。

(……敵だ)

確信した。

魔物よりも、スミ・リョウガのような規格外の天才よりも。

あのオオクラ・レイこそが、私にとっての最大の障壁てきだ。

「完成された王」と、「未完成の私」。

「奪うギフト」と、「運を掴むギフト」。

絶対に相容れない。

私は震える拳を握りしめた。

その恐怖は、いつしか「絶対に負けたくない」という、静かな闘志へと変わっていた。

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