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ギフテッド ハイスクール ~優等生の私のギフトはバニーガール、、、落ちこぼれから始まる少女の成長譚~  作者: アキラ


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10/13

部活動

5月の放課後は、学園全体がお祭り騒ぎになる。

部活動勧誘期間。

新入生の才能ギフトを取り込もうと、上級生たちが必死になる季節だ。

「空を飛びたい奴は『航空魔導部』へ! 自力飛行のノウハウ教えるぞ!」

「『ゴーレム研究会』! パワー自慢集まれ! 資材運搬のバイト斡旋あり!」

「『錬金術同好会』、ポーション飲み放題だぞー!」

中庭では、魔法が花火のように飛び交っている。

私はその喧騒の中を、少し身を縮めて歩いていた。

(……私が入れる部活なんて、あるわけない)

私のギフトは『バニーガール』。

運動系に入れば「ふざけてるのか」と怒られ、文化系に入れば「露出狂」と通報されるのがオチだ。

キラキラした勧誘の声が、今の私には皮肉にしか聞こえない。

私は逃げるように人混みを抜け、いつもの旧校舎へと急いだ。

「……98、99、100!」

静寂に包まれた道場。

私は素振りの回数を数え終え、大きく息を吐いた。

汗が滴る。

今の格好は、例によって「バニーガール+ジャージ」という不審者スタイルだ。

ジャージのジッパーを少し下ろしているおかげで、以前よりは「運」の通りが良い気がする。

「ふあぁ……。終わったか?」

道場の隅で、タイラ先生が昼寝から目覚めたように身を起こした。

今日も気配が希薄だ。そこにいるのに、風景の一部になっている。

「終わりました。……あの、先生」

「ん?」

私はタオルで汗を拭きながら、気になっていたことを聞いた。

外の勧誘合戦の音が、ここまで微かに聞こえてくるからだ。

「先生は、顧問とかやらないんですか? 何か部活を持ってるとか」

先生ほどの達人なら、剣道部や魔導戦闘部から引く手数多のはずだ。

けれど、先生がどこかの部活を指導しているという話は聞いたことがない。

「いや」

先生は即答し、あくびをした。

「俺のやってるこれは、部活向きじゃない」

「どういうことですか?」

「『消える動き』だの『思考を捨てる』だの、現代の魔法戦闘セオリーとは真逆だろ。

これは特殊な、遠い昔の武術だ。

合理性よりも感覚、出力よりも脱力を重んじる。

……今の時代、こんな地味で難解なもんをやりたがる物好きは、ほとんどいない」

先生は自嘲するように笑い、木刀を天井に向けた。

「時代遅れの遺物だよ。俺の代で終わりでもいいと思ってる」

その言葉を聞いて、私はムッとした。

時代遅れ? 物好きがいない?

じゃあ、毎日こうして必死に汗を流している私は何だというのだ。

「……ここに、いますけど」

私は、先生の足元を指差した。

「物好き」

「……あ?」

「私がやってます。先生のその、変な武術」

先生が目を丸くした。

いつもの眠たげな目が、少しだけ開かれる。

「……そういえば、そうだったな」

先生は頭をポリポリとかき、道場の棚からクシャクシャになった紙を取り出した。

埃を被ったその紙には、『部活動設立届』と書かれている。

「学校側からどこか顧問をやれとか言われてうるさかったんだ。

東雲、お前、まだどこにも入ってないんだろ?」

「ええ、まあ……」

「なら、ちょうどいい。名前書け」

ペラッ、と紙が私の前に投げられる。

顧問の欄には、すでに『タイラ』と雑なサインがあった。

部活名の欄は空白だ。

「部活名、どうします?」

「んー……『剣術部』でいいだろ。シンプルで」

「地味ですね」

「地味でいいんだよ。目立つと疲れる」

私は呆れながらも、ペンを取り出した。

部員名簿の欄。

一番上の行に、私の名前を書き込む。

『東雲 葵』

たった一行。

部員数一名。

「これで成立だ。今日からお前が部長で、ヒラ部員だ」

「……私一人だけの部活ですか」

普通なら寂しいと思うかもしれない。

けれど、なぜだろう。

あの喧騒の中で感じた「居場所のなさ」が、嘘のように消えていた。

時代遅れの武術と、時代錯誤なバニーガール。

世間からズレた者同士が集まるこの場所は、私にとって妙に居心地が良かった。

「よろしくお願いします、先生」

「おう。とりあえず部長の初仕事として、道場の雑巾掛けやっとけ」

「……入部初日からブラックですね」

私は文句を言いながらも、口元が緩むのを止められなかった。

夕日が差し込む道場。

ここが、私の、私による、私のための「剣術部」になった。

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