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第2年生編 第9話:波乱のダブルデートと、水族館の決着

土曜日の爽やかな朝。サンは、有名遊園地の入り口でフェースが選んでくれたカジュアルな服に身を包んで待っていた。隣には、髪を完璧にセットし、香水をつけすぎて三歩離れたくなるほどの気合が入ったコンがいる。

「サン……。俺、この格好で大丈夫か? マインドちゃん、スポーツタイプが好きかな?」

コンは店の窓ガラスを鏡代わりに、もう十回目になる身だしなみチェックをしていた。

「大丈夫だって。ほら、来たぞ」

僕が指さした先には、二人の女の子が歩いてきていた。

フェースは「本命彼女」らしい可愛いドレス姿で現れ、その後ろには1年生らしい初々しいサロペット姿のマインドちゃんが続いていた。

「今日は別々に回るわよ」

フェースが作戦を宣言した。「サンと私は絶叫マシン。コン君とマインドちゃんは、あそこのアクアショーが見たいって言ってたわよね? コン君、エスコートよろしくね」

コンは僕と視線を合わせ、感激したような目で「ありがとうございます、フェース先輩! 必ずお守りします!」と答えた。

僕とフェースはコンにチャンスを譲り、別々に歩き出した。だが、僕がフェースの手を引いてジェットコースターに向かおうとしたその時、人混みの中に、見覚えのある広い帽子と大きなサングラスをした影を見つけた。……アイビーだ。

「フェース、見て……」

「あいつ、ヒルか何かなの!? ここまでついてくるなんて」

フェースが忌々しそうに舌打ちした。

【コンの視点:止まらない緊張】

一方、水中トンネルの中で、コンはマインドちゃんの隣でガチガチに固まっていた。静かすぎて、自分の心臓の音が聞こえるほどだ。

「コン先輩、お魚好きなんですか? 水槽をじっと見つめて」

「あ、ああ……そうなんだ! 魚って……プロテインが、いや、知識が豊富そうだからね」

コンの支離滅裂な答えに、マインドちゃんはクスクスと笑った。

その時、走ってきた子供がマインドちゃんにぶつかり、彼女がよろめいた。コンは間一髪で彼女の腰を抱き寄せ、支えた。二人の顔の距離は数センチ。マインドちゃんは頬を赤らめ、小さくお礼を言った。

コンはこれこそがサンの言っていたチャンスだと確信した!

「マインドちゃん、実は……伝えたいことがあって……」

「あら! サン先輩、こんなところにいたんですね!」

アイビーの甲高い声が、コンの言葉を遮った。アイビーは、彼女をコンに近づかせまいと追ってきた僕の腕にしがみついた。フェースはすぐさま僕の腕を奪い返し、アイビーを睨みつけた。

「今日は私たちのデートよ、アイビー! 失礼すぎるわ!」

サメの水槽の前で、告白の瞬間は台無しになり、フェースとアイビーの火花が散っていた。

アイビーはフェースの鋭い視線に、余裕の笑みを返した。

「あらフェース先輩。遊園地はみんなの場所ですよ? 私は偶然サン先輩を見かけただけ。まさか、こんな子供っぽい『ダブルデート』をしてるなんてね」

アイビーの蔑むような視線に、マインドは怯えていた。それを見たコンが、一歩前に出て彼女を庇った。

「おい! 偶然が多すぎじゃないか? 遊びたいなら他所へ行けよ。邪魔なんだ」

「コンさん、落ち着いて……」マインドが彼の袖を引く。

だが、フェースの我慢は限界だった。彼女はアイビーの目の前に詰め寄った。

「アイビー、聞きなさい。あなたの無作法をずっと目をつぶってきたけど、こうやってサンにつきまとうのは……本当に不愉快よ」

「不愉快、ですか?」アイビーは眉を上げた。「先輩がそんなに怒るのって、心のどこかでサン先輩を信じきれてないからじゃないですか? 私がちょっと誘えば、すぐ心変わりしちゃうって……」

バキッ!(サンの持っていたプラスチックカップが握りつぶされる音)

「いい加減にしろ、アイビー!」サンの叫び声に、周囲がざわついた。

「僕はフェースを選んだ。はっきりと断ったはずだ。これ以上こんな真似を続けるなら、親父に言ってプロジェクトを降りる。どんな損害が出ても構わない!」

僕の宣言に、アイビーは一瞬顔を強張らせた。まさか僕がプロジェクトを盾にするとは思わなかったのだろう。フェースは、誇らしげな目で僕を見つめた。

「ふんっ、覚えてなさい!」

アイビーは捨て台詞を吐き、コンの肩を突き飛ばして立ち去っていった。

ようやく静けさが戻り、コンが長い溜息をついた。「ふぅ……俺の告白のチャンス、台無しだよ」

「ごめんな、コン。マインドちゃんも」

僕が申し訳なく思っていると、意外なことが起きた。マインドちゃんがコンの手をそっと握ったのだ。

「いいんです、コン先輩。さっき、私を守ってくれた先輩……すごくかっこよかったです」

コンは耳まで真っ赤にして固まってしまった。フェースは僕の腕に寄り添い、肩に頭を預けた。

「サン……さっきのは最高にかっこよかった。いつも私を選んでくれて、ありがとう」

僕たちは水族館を後にし、食事へ向かった。アイビーは恨みを残して去ったが、コンとマインドちゃんの距離は確実に縮まり、僕とフェースは、信頼こそが最強の盾であることを学んでいた。

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