番外編パート2:コウのひと目惚れと、2年生への警告
「サン……俺、もうダメだ」コウがペンチを持ったまま、うつろな目で呟いた。「さっき事務棟に道具を返しに行った時、女の子に会ったんだ。来年から入学する子らしいんだけど……可愛すぎてペンチの使い道まで忘れるところだったぜ!」
僕は思わず吹き出した。「お前、本当に惚れっぽいな。で、声はかけたのか?」
「無理だよ! 俺みたいな無骨な技術生が、あんな天使に話しかけられるわけないだろ」コウは深いため息をついた。「でも、お前とフェース先輩を見てると希望が湧くよ。お前みたいな地味な奴が会長を落とせたんだ、俺にだってチャンスはあるはずだ!」
僕は否定せず、ただ苦笑いした。「まあ、頑張れよ。でも、2年生になったら実習も忙しくなるし、それに……」僕は、リンが去り際に残した言葉を思い出して言葉を止めた。
リンは「もう邪魔しない」と言って、潔く身を引いてくれた。 でもそのおかげで僕は気づかされたんだ。**「秘密は永遠には続かない」**ということ。そして2年生になれば、フェース先輩との関係はもっと周囲の目にさらされることになる。
「それに、何だよ?」コウが不思議そうに首をかしげる。
「いや、なんでもない。ただ、来年は覚悟しとけよってこと。本当の嵐はこれから始まるんだからな」僕は相棒の肩を軽く叩いた。
手元のキーホルダーを見つめる。リンとの過去は清算され、ケン先輩との戦いにも勝った。今は全てが順調に見える。……けれど、僕の直感が告げている。ポワチョー校での2年生生活は、ただ甘いだけの時間では終わらないということを。




