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第10話 拡張:移ろう季節と、実習室の約束

屋上での出来事から数週間。ポワチョー校には学年末試験の季節がやってきた。ケン先輩の騒動はすっかり落ち着き、僕たちの「ボディーガード」と「先輩」という関係は、校内でも公然の秘密のようになりつつあった。

1年生としての最後の週、僕は彼女と初めて出会ったあの電気実習室で、独り片付けをしていた。

「サン君……そんな顔して。試験も終わったのに、まだ難しい顔してるの?」

フェース先輩の澄んだ声と共に、冷たいジュースの缶が僕の頬に触れた。

「少し寂しいだけです、先輩。明日から休みに入ったら、僕の『ご主人様』としばらく会えなくなるから」

先輩は僕の隣に腰を下ろした。「会えないなんて誰が言ったの? 夏休みの間、家の電気系統の修理を手伝わせるためにボディーガードを呼び出そうと思ってたのに」

彼女はいたずらっぽく笑った後、ふと真剣な表情になった。

「サン……あと数ヶ月で君も2年生。後輩が入ってきて、新しい環境が君を待っている。……念のために聞いておきたいんだけど」彼女は僕の目をまっすぐに見つめた。「君は、これからも私だけのボディーガードでいてくれる?」

僕は言葉で答える代わりに、財布からキーホルダーを取り出した。そこには、自作の**『S』と、彼女から贈られた『F』**が、あの日彼女が結んだ赤い糸でしっかりと繋がっていた。

「1年生だろうと、2年生になろうと……僕の心がある場所は変わりません」

フェース先輩は、今まで見たこともないような眩しい笑顔を見せた。そして僕の耳元で囁いた。

「合格よ。……じゃあ、来年は覚悟しておいてね。私たちの秘密を世界中に『公開』しちゃうような、大きなプロジェクトを準備してるから」

実習室を去っていく彼女の後ろ姿を見送りながら、僕の心は希望と高揚感で満たされていた。この休み期間、もっと自分を磨こう……。今よりもっと強くなって、2年生の**「サン先輩」**として彼女の前に立つために。

さよなら、騒がしかった1年生の日々。

そしてこんにちは、二人で歩む新しい未来。

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