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第3話 幼馴染十字ゲーム大会 前

 入学式が無事に終わり、同じ高校に通うことになった優花と雪穂と一緒に帰宅してる道中。


 今朝、雪穂が合流した十字路まで戻ってきた。


 「じゃあ優花ちゃん、真央君また来週ね」


 「えぇ、また来週」

 「またな雪穂」


 「ふふ、優花ちゃんの前でもちゃんと名前で呼んでくれるんだ。嬉しい」

 「なんか呼び始めたら呼びやすくて、何なら”雪穂”じゃなくて”雪”って呼びたいぐらい」

 雪穂の頬が真っ赤に染まる。


 「い、いきなり愛称で呼ぶのは……あ、いや嬉しいしむしろ呼んでほしい」

 「わかった、じゃあこれからは雪って呼ぶな」


 「う、うん! じゃ、じゃあね真央君! 優花ちゃんも!」

 「おう」

 「……またね雪穂」


 優花から何やら視線を感じる。


 だが優花の方を振り返ると、優花がそっぽ向いてしまった。


 「どうした?」

 「なんでもないわ、あまりにもあなたが軽率すぎて呆れているだけだから」


 「そんな馴れ馴れしかったか!?」

 「そうじゃないわ。はぁ……」


 優花が滅多にしないため息をついた。


 「とりあえず帰りましょう」

 そう言い、優花は早歩きでトコトコ進んでいく。


 「ちょっ、待って」

 俺も急いで優花を追い掛けた。


 優花の隣を歩いても、優花が話しかけてくることもなく、ブツブツと何か言っている。


 「あ、あのー。優花さん?」


 声を掛けてもブツブツ言っており、聞いてない様子だ。


 マンションに着いても、エレベーター乗っても、家の前に着いてもまだ何か呟いている。


 「おーい、優花?」

 ポンっと肩に手を置くと「ぴゃっ」とめちゃくちゃ可愛い驚き方をした。


 「え、な、何!?」

 「いや、家に着いたぞ?」


 「あ、あぁごめんなさい。考え事してて」

 「そ、そうか」


 「じゃあまた夕方に」

 優花がカバンから鍵を取り出し、ドアに差し込む。


 「優花、お昼はどうする?」

 「え、テキトーに作って食べるつもりだけど」

 鍵を差し込んだまま、こちらに振り向く。


 「それなら一緒にどうだ?」

 「い、いいのかしら? お邪魔しても」


 「俺から誘ってるんだから、遠慮しなくてもいいぞ」

 「そ、それもそうね」

 優花は鍵を回し玄関を開ける。


 「なら着替えてそっち行くわね、お買い物は行くのかしら?」

 「そのつもりだ」


 「わかったわ」

 「じゃあ後で」


 「えぇ、また後で」


 優花が部屋に入っていくのを見届けてから、自分も玄関を開けて入っていく。


 「ただいまー」


 靴を脱ぐと、既に中学校指定の白いスニーカーと黒のパンプスが並べられていた。

 スニーカーは妹の詩央で、もうパンプスは妹の親友の瞳ちゃんだろう。


 靴を脱いで壁際に掛けられた水色のスリッパに履き替える。

 玄関から1番近い部屋が俺の部屋で、玄関横の窓と繋がる場所だ。

 部屋に荷物を起き、ついでに部屋着に着替える。


 この後買い物に行く予定だが、デートではないため黒のTシャツに灰色のジャージを履き、下とセットになっているパーカーを上に羽織った。


 リビングに向かう途中で洗面台に寄って手洗いを済ませる。


 リビングの扉を開けると、テレビの前のソファで詩央と瞳ちゃんが映画を見ていた。


 「あ、真央にい、おかえりー」

 「真央先輩おかえりなさい。お邪魔してます」

 瞳ちゃんが立ち上がり、頭を下げる。


 2人共帰ってきてから着替えたようで、私服姿だった。


 詩央は灰色のキャミソールの上にパーカーを羽織、チャックを胸下辺りまで上げている。

 下は黒の短パンを履いていて、休日等に家でよくしている格好だ。

 俺も似たような格好をしているから思わず兄妹だなぁと思った。



 明が見たら卒倒しそうだな。

 まぁ詩央も明の前だとちゃんとオシャレするんだけど。



 瞳ちゃんは家に来る時、いつもどこか出掛けるんじゃないかと思うほど、キチンとオシャレしてくる。

 今日の格好は、詩央と逆サイドのポニーテールに白色のシュシュが飾られている。

 上は黒の花柄を模したシースルーで、中には白のベアトップを着ているようだ。

 下は黒のシフォンスカートに白色のソックスが顔を見せていた。


 瞳ちゃんの顔立ちはまだ少し幼さが残るが、今日の格好などを見てると、すごく大人びて見えるから戸惑うことがある。

 詩央に比べてスタイルが良く、それでいて常に笑顔を絶やさず礼儀正しい子だ。


 「あ、そうだ。詩央、瞳ちゃん」

 「何?」

 「どうしました?」

 詩央がこちらを振り向き、瞳ちゃんが可愛く首を傾げる。


 「この後、優花と一緒にここでお昼食べようと思って呼んであるんだけど、瞳ちゃんも一緒に食べるか?」

 「え、いいんですか!?」


 「あぁ、優花が来たら一緒に買い物行くけどね」

 「真央にい、お昼は誰が作るの?」


 「兄貴も帰ってくる頃だろうし、悟も可哀想だから女の子3人に任せようかなって」

 「まぁそうなるよね。でも買い物は真央にいと瞳と優花ちゃんにお願いするね。私は準備してるから」


 その時、家の中にチャイムの音が鳴り響く。


 モニターを確認するとそこには、優花の姿が映っていた。


 玄関に向かい扉を開ける。

 「お待たせしたわね。さ、買い物に行きましょう」


 着替えた優花の姿に見惚れてしまった。


 長い黒髪は三つ編みに編まれ肩から前に掛けられている。

 首元にフリルが付いた白のタイトTシャツにグレーのジャンパースカート、スカートにも黒のフリルが付いていてオシャレだ。

 足元は銀色の蝶が飾られている黒のハーネスブーツと、白く輝くタイツが見えた。


 「真央君? どうしたの?」

 「あ、いや。その……スゲェ可愛くて」


 優花の顔が真っ赤に染まる。


 「ば、バカなこと言ってないでさっさと行くわよ。詩央ちゃんは?」

 「詩央ちゃんお留守番です」


 俺の後ろから瞳ちゃんが顔を出す。


 「あら、瞳ちゃん来てたのね。という事はあなたも一緒に食べるのかしら」

 「はい。後から兄と直央先輩も帰ってくるので、一緒に食べるつもりです」


 「なら、6人分かしらね」

 「そうなるな。荷物持ちは任せろ」


 「えぇ、お願いするわ」


 俺、優花、瞳ちゃんの3人は近くのスーパーに向かった。


 スーパー着いてから感じたのは、明らかに場違いな格好をしている事だ。


 俺の両隣に居る優花と瞳ちゃんは、デートに着ていくような格好をしているが、逆に俺はラフ格好すぎて3人で並ぶと場違い感が強い。


 周囲の人々がこちらをチラチラと見る視線を感じていた。


 そんな状況の中6人分という事でお昼はうどんに決まり、油揚げやかき揚げ、天カス、ワカメなど好みの具材を買い、家に戻る。


 「「ただいま」かえりました」

 「お邪魔します」


 家に入ると、靴が一足増えていた。

 兄貴の靴だ。


 リビングに入ると兄貴と詩央が、ふよふよで対戦していた。


 「だー!! また負けた」

 「直央にいの三連敗」


 普段から明にふよふよを教わってる詩央に、俺も兄貴も段々勝てなくなってきている。


 「お昼うどんにしたから、好きなように具材を入れてくれ」

 「なら、私の出番はなさそうね」


 「まぁ大したアレンジはできないな」


 詩央の特技は料理だが、特にアレンジが得意である。

 料理研究家で教室も開いている母親に叩き込まれた、俺達三兄妹はそこそこ料理が出来る俺と兄貴、料理の天才詩央にそれぞれ育った。


 そのおかげか家族全員料理はできるため、誰か居れば協力し合うし、一人でも朝から晩御飯まで特に困らない。


 「直央先輩が帰ってきてるって事は、兄も帰ってきてますね。呼んできます」

 「あぁいいよ、電話で呼ぶから」


 そう言い、俺はポケットからスマホを取りだして悟に電話を掛けた。


 『どうしたー?』

 「こっちで一緒に昼飯食わねぇか? 瞳ちゃんも来てるし」


 『あぁ、やっぱそっち行ってたか。部屋に制服が脱ぎ捨てられてたから、もしやと思ってた』

 「ははは、予想的中だな」


 てか、え? あの礼儀正しい瞳ちゃんが、制服脱ぎ捨ててそのままってなんか意外だな。

 詩央とか陽姉なら納得できるけど、2人は逆に脱ぎ捨ててる事ないし、ギャップがすごい。


 でもなんか瞳ちゃんの意外な一面を知った気がする。


 『とりあえず俺も着替えてそっち行くわ』

 「了解、鍵空けとくからそのまま入ってきて」


 『ういー』


 電話を切った5分後には悟も合流した。


 うどんをすすりながら、ふと居ない2人の事を思い出す。

 「そういえば、陽姉と明は?」

 「陽歌は用事があるらしく、来るのは夕方だそうだ」

 「下月先輩は推しの配信見るからって言ってた」

 「そうか、明はともかく仕方ないか」


 俺と優花、瞳ちゃんはきつねうどん、悟がたぬきうどん、兄貴と詩央がわかめうどんにして、それぞれお昼ご飯を食べた。




 そして、夕方まで各々で好きなように過ごし、明と陽姉も合流。


 「さて、皆さんお待ちかね。第一回目幼馴染十字ゲーム大会を始めます!」


 兄貴の司会のもと、毎年恒例のゲーム大会が始まろうとしていた。

 今日のろじ裏


 「真央君たら、急に私の事を愛称で呼びたいなんて言うから、胸がキュンキュンしちゃった」


 「優花ちゃんも幼馴染だからって余裕ぶっこいてるけど、このままだと私本気で真央君の事落としちゃうよ!」


 左榎優花の親友である私、桜葉雪穂が十塚真央を好きになったのは中学三年生の頃だ。


 正直、その前から良いなと思ってたのは本当だけど。

 同時に親友の好きな人を、好きになっちゃいけないと思って心の中で制御してたけど、やっぱりダメだった。


 最初に彼の事が気になったのは中学二年の冬休みだ。

 三年生はウィンターカップ終了と同時に引退していて、女バスは優花ちゃんが、男バスは真央君が部長兼レギュラーメンバーのキャプテンを務めていた。


 学校の体育館は、男バスと女バスの間に緑色の大きなネットで隔てられているだけだから、近くに居れば普通にボールが当たってしまう。

 なのにその日の私はちょうどネットの近くで、他の部員の試合形式の練習を見ていた。


 そんな時だ。

 後ろから「桜葉! 危ない!」という声が聞こえたから、なんだろうと思って振り返ると、私の方に飛んできていたボールを片手で受け止めているの真央君の姿が目に入った。


 「大丈夫か、桜葉」

 「だ、大丈夫。ありがと十塚君」


 「無事ならいいんだ」

 はにかんだ笑顔でそう言うと真央君は、取ったボールを飛ばしてしまった後輩にパスする。


 「おい、ネットの方は気をつけろって言っただろ!」

 「すみません部長!」


 「後でいいから桜葉に一言謝っとけ!」

 「は、はい!」


 この時、私の中で彼への気持ちが動いた。


 他にも中学三年生に上がってすぐの頃だ。

 男バスのとある後輩から呼び出され、中庭に居た時のこと。


 「桜葉先輩! 好きです、俺と付き合ってください!」

 「ご、ごめんね。私、実は彼氏がいて……」


 優花ちゃん程じゃないけど。

 度々告白される私も、疲れていたのか咄嗟に嘘をついてしまった。


 その時たまたま近くを通った真央君が目に入り、私は声を掛ける。

 「ま、真央君!」


 この時はまだお互い苗字呼びだったから、下の名前で呼ばれた真央君はびっくりしてたけど、真央君はすぐに状況を察してくれたみたい。

 「お、おう雪穂、こんな所で何やってんだ?」


 そう言いながら、彼はこちらに歩いてきてくれた。


 私の隣に来た彼の腕にくっ付く。

 「こ、この人が私の彼氏なの、同じ男バスなら知ってるよね」

 「そんな……十塚先輩は左榎先輩と付き合ってると思ってたのに……」


 後輩君はとぼとぼと落ち込んだ様子で帰っていった。


 「ごめんね十塚君、咄嗟の事とはいえ合わせてもらって」

 「気にするな、優花もよく同じような状況に合ってるし、俺で良ければいつでも相手になるぞ」


 彼の優しさに心が惹かれ始めた。


 心の中で何度も「十塚君は優花ちゃんの好きな人」って唱えたけど、去年のボールから守ってくれた姿や告白を断る口実にした時の笑顔が頭から離れなかった。


 そして三年生の球技大会でバスケットボールが行われた時だ。


 同じクラスだった私と優花ちゃん、真央君、右川君、下月君でチームを組んだとある試合。

 部活中に何度も目にした、彼の速射スリーポイントシュートを間近で見た時完全に惚れてしまったのだ。


 それから私は2人と同じ高校に行くために勉強に励んで、自己採点だとギリギリだったけど合格できた。


 「親友と同じ人を好きになっちゃったけど、遠慮なくアピールしていくからね? 優花ちゃん」

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