最大の調味料の力を借りて 空腹
手作り料理を作った。
けれど、彼は食べてくれなかった。
私が作った料理は、彼の口には合わなかったみたい。
ちょっとがっかり。
でも、また諦めずに挑戦しましょう。
頑張り続ければ、彼の口にあう味になるはずよ。
それから私は、彼の前で何日も料理を作り続けた。
やっぱり努力をすれば実るのね。
彼はやっと私の料理を美味しいと言ってくれたわ。
今日はなんて良い日なんでしょう。
この料理。
私の口には、何の変哲もない味にしか見えないけれど、彼の口にはとても美味しく感じられたみたい。
「いつまでずっとこの家で生活しなければならないんだ?」
私は彼の口を拭いてあげてから、にこりと笑った。
だって彼は自分で手を動かせないから、仕方がないわ。
「私達、両想いでしょ? 思いあう恋人同士が一緒にいるのは当然の事じゃない」
彼はその言葉を聞いて、自分の手にまとわりついている鎖をじゃらりと揺らした。