使命
次話、ラザとリアリ、激ラブモード突入です。
あまりにも差し迫った映像に、さしものラザもやや息を乱した。
「見たね?」
「……いまのはなんです」
「前半は“滅びの竜と双頭の巨人と二十一公主”の創世神話の真相、後半は近い未来じゃ。残された時間はない。よくお聞き。“盾”は“方舟”を守るための最終防衛兵器じゃ。“盾”なくして“方舟”はあり得ぬ。“方舟”なくしてひとの存続はあり得ぬ。いまからそなたに預けるものには、種の存亡がかかっておる。心せよ。全霊をもって己が使命を果たすのじゃ」
「嫌だと言ったら?」
マリメダは陰湿に嗤った。
ひとの弱みにつけ込み悪を成す、冥界の主の如く。
ラザは聞く前からわかっていた。
焼けて炭になったオリーブの枝が脳裏を過った。
案の定、マリメダは言った。
「そなたのなによりも大切なものが失われるよ」
ラザの腕が鋭利に動く。
投じたナイフが一直線に空を切ってマリメダの眉間を貫いた。
だが、掠めもしなかった。
囚われの身を演出する、陰影もくっきりとした出来のいい立体映像だった。
マリメダのくぐもった乾いた笑い声が響きわたる。
ラザの目前には、かつてロキス・ローヴェルが父ジリエスター博士より託されたコントロール・キー・プレートがあった。
しばらく見つめたのち、手を伸ばし、これを取った。
脅迫に屈するラザの巻でした。
次話はリアリと二人きりの夜です。
引き続きよろしくお願いいたします。
安芸でした。