プロローグ
できましたらプロローグと第一話を続けてお読みください。
第一話に登場するのは、聖職者でありながら暗殺者の顔を持つ双子兄。調達屋の双子弟。そして砂漠虎二頭と寡黙で忠実な護衛を従える、観光案内業の主人公です。
慟哭は深かった。
男は虚ろな眼で涙を落とす娘を掻き抱いた。
腕の中にいるのは、ただひとりの愛しいもの。
だが自分のものではないもの。
他の男を愛し、その男のために生き、輝いていた。
惹かれて。
ただ、惹かれて。
欲しくて。
その身を乞うた。
勇ましく、手ごわい女。
他の存在のために、血を流すことをいとわない。
その心の一部を占めることはできたものの、ついに独占できることはなかった。
男は娘に告げた。
「いつか、言わせてみせる。誰よりもこの私を愛していると」
予告より一日遅れまして、連載開始です。
主人公もまわりの連中も、本当に行儀のよろしくない奴らばかりですが、そういうのも嫌いじゃない(私の物語はどうもこの注釈が多いな)という奇特なお方は、どうかよろしくおつきあいくださいませ。
恋愛カテゴリーにおきつつ、内容は、中盤以降は特に波乱万丈。おそらく、どなたも予想しえない展開を迎えます。
おなじみの、群像劇で参りたいと思います。
引き続きよろしくお願いいたします。
安芸でした。