第83話 プリエ・ルミエールの旅~三人の決意編7
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アニキのパーティメンバー、思いのほかヤバい人がいたのね。もう故人だけど……。
パスカルさんは、アニキと仲間の思い出を話しているうちに少し元気が出たらしい。
「……思えば、ヤバいメンツだったな。アニキはすぐ誰かを助けに単独行動を起こすし、ティファニーはアルジャンに当たり散らし、ロランスとサロメは始終イチャついてたし」
と、懐かしそうにボソリと言った。
……うわぁ。アニキはともかく、私は聞いただけで一緒に行動したくないメンツなんですけど?
ラブラブいちゃつきカップルと、好きな人に尋常じゃなく当たる人と、誰かを助けるためにいなくなっちゃうリーダーでしょ……? 無理じゃない?
「ま、確かにお前がいたから成り立ってたな」
と、アニキがさわやかに言った。
……パスカルさん。今からでも考え直してくれないかな? 一緒に旅しませんか?
って思ってすがるような目つきで見てしまったら……。
パスカルさんは私の視線の意味がわかったようで、首を横に振った。
「人間的にはアレでも、最高のメンバーだった。それでも勝てなかった。……アニキがいなくても勝てる、そううぬぼれていたよ。まさしくうぬぼれだった。俺は、弱い。今まで強敵と戦ってこれたのは、みんながいたからだ。俺よりも強い連中が戦ってくれていた。それがわかった。みんな死んで、アニキが残って……」
パスカルさんの語尾が震え、だけど、言いにくいだろうセリフをキッパリと言った。
「俺は、死ぬのが怖い。もう死にたくない」
アニキは、その言葉を責めず、パスカルさんに向かってうなずいた。
「わかった。ゆっくり休め。そして、腕は磨いておけ。……こう言っちゃなんだがな、プリエが言ってたぞ。どんなにあがいても運命からは逃げられなくて、勇者の供となる運命なら、逃げるよか勇者と合流して戦うべきだ、ってな。……お前の運命がどうなるかはわからん。だが、魔王の眷属とやらと戦う運命を持ってるなら、逃げたってソイツは必ずお前の前に現れる。だから、今度こそ倒せるように、腕を磨け。鍛錬を忘れるな」
パスカルさんは、黙ってうつむいていた。
アニキはもう一度パスカルさんに向かってうなずくと、イディオを促して部屋を出た。
なんとなくみんな黙って、チャラいバジルの家の前まで行ったら……。
「……ふぇ?」
な……ナニコレ!?
デッカい家みたいなのが、どんどん変形してるんですけど!?
最終的に、ちょっと大きな馬車、くらいのサイズに落ち着いた。
私たちだけじゃなく、周りの家の人たちも啞然としている。
「よっしゃ、できたっと。……お、プリエちゃんどした!? なんでお姫さま抱っこされてんの!?」
と、私の心配をしてくれたわ。
チャラいけど、いい人だわー。
「……魔術で……」
あまりしゃべれない私の言葉を、イディオが補足した。
「アニキの仲間に回復魔術をかけたのだ。かなりの魔力量を使うので、毎回こうなる」
「えー! 大変じゃん! それって大丈夫なの!?」
大丈夫といえば大丈夫だけどね。寝てれば徐々に回復してくるし、最近はその回復スピードも速くなってる。
……とはいえ、三時間は寝ていないとダメだけど。
「いや、魔力回復を鍛えるにはいい方法だぞ。欠乏寸前まで自分を追い込むと、体が危機感を感じて回復スピードを上げ、魔力量も増える」
と、アニキが言ってくれた。
そうなんだ! それなら倒れる甲斐があるわね!
「……で、そっちは準備……出来たんだろうな。ソレで行くのか?」
アニキがかつて家だったナニカを見ながら尋ねた。
「もちろん! 一か月用意していたからねー。あ、コレ、全部俺の女」
後ろに並んでいる女性たちを指して言った。
うわ、最悪。
って思いながら見たら……。
「クモコと申します。魔導人形です」
「……ハナコです。私はいないものと思ってください」
魔導人形!?
すごい!
人間にしか見えない!
アニキも感心している。
「さすが、勇者の供の子孫だけあるな」
アニキも感心しているし、イディオは絶句しているわ。
……思った以上に、勇者の供ってすごい人たちなの? そう考えたら、今後の展望にちょっと光が差した気がしてきた!
そういえばこの人、アニキの仲間でも勝てなかった魔王の眷属を姫さまと護衛騎士とこの人の三人で倒したんだっけ。
……うん、勝てる気がしてきたわ!
イディオも気合いが入ったらしい。
「私も魔術を鍛えねばな」
と、呟いている。
姫さま!
なんかこのメンツならいけそうな気がするから、待っててね!
通常ではすでに入荷されているようなのですが、いまだ影響があるようで……。
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