第82話 プリエ・ルミエールの旅~三人の決意編6
※発売日まであと2日!
特典SS付きは、メロンブックス様とゲーマーズ様になっております!
ご予約どうぞよろしくお願いいたします~!
アニキいわく、その死んじゃったティファニーという人は、アルジャンのことがずっと好きだったそうだ。
ただ、周りが引くほど風当たりが強かったらしい。
アニキは、実力はあるのに危なっかしいアルジャンを何度も何度も自分のパーティに入れようとしたが、ティファニーさんが猛反対。
実際のところ憎まれ口以上のなにものでもなく、本人はアルジャンが入るのを楽しみにしていたくらいだった。
が!
「なんでこんな奴を入れるのよ!?(ウッソー! アルジャンがパーティに入ってくれるの!?)」
「信じられない、こんなんが入ったらパーティはメチャメチャよ!(私、アルジャンが入ったら緊張しちゃう)」
「アニキ! コイツが入るなら私、パーティを抜けるからね!(夢みたい……。これからはずっとアルジャンを見つめてられるのね……。戦ってる場合じゃないわ!)」
……あまりにひどい言いぐさのため、アルジャンは苦笑しながらアニキの申し出を固辞し、ずっとソロで戦っていたという。
ティファニーはかなりガッカリしていたのに、アルジャンの前だと威嚇し傷つけるようなことばかり言っていたそうな。
アルジャンは言われてヘコんだり相手に言い返すような性格ではなかったけれど、「俺がアニキといるとメンバーが嫌がるだろうから」と、疎遠になってしまったのだという……。
「へー……」
それはヒドイ。
ティファニーさんの性格がね。
そしてその光景が目に見えるようだわ。
恐らく、頭をかきながら苦笑していたのでしょうね、きっとそうだわ。
「しかも、ティファニー自身がわかってねぇからな。本人としちゃ好いた相手に勇んで話しかけてるんだが……自分では真面なことを言ってるつもりでよ。俺も、他のメンバーも説教かまして、ようやく見かけたら突撃して『何しにきた、あたしらに近づくな!』って威嚇するのがなくなったんだが……」
「うわ、ヒドイ」
イディオよりひどいわ。
世の中、本当にいろんな人がいるわよね……。
と、うなずいていたら、イディオがまたもや白い目で私を見ている。
「……ちなみに、ジョゼフ・ジャステ伯爵子息もそのティファニーさんとやらと同じ病持ちだぞ」
病気扱いしたわよコイツ。
でもわかるわー。恋わずらいとしては、好きな人に暴言吐くってもう病気と一緒よねー。
…………ん?
「……一緒?」
「ジョゼフ・ジャステ伯爵子息は、お前に一目惚れしていたようだったぞ。……確かに、見た目は可憐だからな、見た目は」
二度言いやがった。でも褒めてるのかしらね。
いや、そこは置いといて。
「……それって……」
アレと一緒なの!? 最悪じゃん!
アニキが面白そうにイディオを見た。
「へぇ、プリエはモテるのか。ま、かわいいからな。で、そのなんとか伯爵の息子とはどうなったよ?」
アニキにかわいいって言われちゃった! これは脈アリかな!?
私が浮かれたら、イディオが無表情でアニキに告げた。
「プリエがオグレスのような顔をして、両手で中指を立て、『大ッ嫌い』『クソ野郎』と告げて去りました」
…………。
アニキは大爆笑。私は沈黙。
……イディオ、マジぶっ叩く。
それはともかく。
アルジャンって人の気持ちがわかるわ~。
それはもう、話しかけてくんな近寄るな、って思うわよね。あのクソ野郎と一緒っていうのなら、私なら受け入れるなんて絶対に無理!
アニキもそれを察したみたい。
「……そうか。そりゃ、実らぬ恋だったんだな」
と、しみじみ言った。
ちなみにその腕輪は、アルジャンが妹の十五歳の誕生日に成人の祝いとして買って用意したもので、それをどこぞの女にプレゼントすると勘違いしたティファニーが怒鳴りまくり最終的に「アンタがこんなものを買うなんて分不相応よ!」と意味不明なことを言って強奪したという品物だったらしい……えぇえええ……。
その出来事を、ものすごくいいように解釈したティファニーが「アルジャンからのプレゼントだから」と喜んで身につけていて、当のアルジャンから事情を聞いたアニキがマジギレしてティファニーに怒鳴り、「返してこい!」と言ったがティファニーは頑として拒み、アニキが賠償金も込みでアルジャンに弁償したという。
そしてアルジャンは、そのお金でもっとお高い『快癒祈願のネックレス』を買って妹に贈ったそうな。
「……とんでもない逸話の腕輪……」
いやアルジャンだって、そんなモンを返されたって嫌でしょ。私なら嫌よ。もしもらったら、すぐさまどっかに売り飛ばすわよ。遺品じゃ、いまさら妹さんへも贈れないでしょうし。




