第106話 護衛騎士、王様へ報告に行く
ようやく戻ってきました王城へ。
全員だ。
バジルは嫌がっていたけど、褒賞でハナコとクモコをバージョンアップさせるための素材がもらえるかもしれないと呟いたら、おとなしくついてきた。
陛下には俺が主に報告する。
あと、イディオ様だね。
補完でプリエ様だ。
姫さまは、陛下に抱っこされている。……仲良しだったんだなぁ。
俺は、男から聞いた話と自身が体験した話、そして、初代勇者の記憶が封じ込められた絵本から聞いた話を全て話した。
陛下も知らないことが多かったようで、表情には出さないようにしていたがかなり驚いているようだった。
周りの重臣たちは、顔に出して驚いている。
「全員で力を合わせ、初代勇者の力も借り、どうにか諸悪の根源である真の魔王を討伐いたしました。……姫さまが、討伐した魔王の亡骸を保管しております」
「そうか。大義であった」
「はっ!」
全員が頭を下げる。
「えーとねパパ。初代勇者って奴が言ってたんだけど、今代の勇者はアルジャンだったんだって!」
姫さまがとんでもないことを抜かしたぞー。
「……アルジャン。パシアンが言うことは、真か?」
「私は聞いておりませんので分かりかねます」
即返す。
知らんよ。
俺は単に剣を振っただけ!
あの剣に力を与えたのは、初代勇者だし!
しかも、姫さまが身代わり人形を大量に用意してくれてなけりゃ、死んでたし!
諸悪の根源である男は、アニキが倒したんだし!
「……私も聞きました」
と、イディオ様が裏切った!
「……私も、二度ほど聞きました」
プリエ嬢も裏切ったか!
重苦しい沈黙が降りた。
「……と、申しておるが、どうなのだ」
陛下が再度尋ねてきたので、俺は説明した。
「……初代勇者がどうしてそう考えたのかは分かりかねますが、たまたま初代勇者の力を宿した剣をパシアン姫から賜り、私が振るっただけのことでして。剣を持っていた、という点で初代勇者がおっしゃった可能性はあり、持っていたのがイディオ様だったなら、イディオ様が今代の勇者と称された可能性はあります」
俺がイディオ様に振ると、イディオ様が目を剥いた。
ちなみにイディオ様、まだ帽子が取れてない。
俺も、ヒュドラが取れてない。
「……それは置いておこう。それで、初代勇者は……」
「魔王を倒すため、勇者の剣に全ての力を注ぎ込んだようで、もう……」
あれから話しかけてみたが、なんの反応もしない。
姫さまが話しかけてもダメだったので、あの異形を倒すために剣に全てのエネルギーを注ぎ込み、消えてしまったのだろう。
『姫さまの大冒険』は、初代勇者の依り代ではなくなり、単なる白紙のノートになった。
姫さま、めいいっぱい落書きするといいですよ。
「相分かった。ご苦労であった。褒賞や祝勝などは日を改めて決定するが……。今、ここだけの話として尋ねよう。希望があれば言うがよい。考慮に入れておく」
よし。
確定はしないが、よほどのことがないかぎりは叶えられるだろう。
俺はチラリとアニキを見た。
「では、俺からいきます。……俺は、Aランクの冒険者パーティ【鴻鵠之志】のリーダーをやっていました。途中、とある伯爵領で濡れ衣を着せられ捕まえられ、それを知った仲間が助けにきましたが、捕まえた連中に罠にかけられ壊滅し、四名のうち三名が悲惨な最期を遂げています。……このとき罠にかけた連中を、俺に預けていただきたい」
アニキが強いまなざしで頼む。
陛下はチラリと横を見ると、宰相が微かにうなずいている。
「……考慮に入れておこう」
「ありがとうございます!」
アニキが頭を下げた。
他は、たいしたことがない。
リノールは杖を今後も所持したいという以外は特になし、バジルは魔人形の強化に使えそうな特別な素材を所望し、プリエ嬢はお金で、可能なら男爵家当主は譲りたいと言ったら了承され、その代わりに伯爵の爵位と領地を支援付きで譲り受けることになった。
魔王種が消えたことで復興に力を入れられるので、王家がバックアップできる、なので伯爵当主として頑張れ! ……と言われ、プリエ嬢は顔が引きつっていた。
イディオ様は、グラン公爵家へ戻ることになった。ただし、失態もあるので次期公爵家当主になれるかどうかは今後の動向しだいだそうだ。
……ま、最初はアカン奴だと思ったが、プリエ嬢と旅をしてだいぶ成長したようだからな。
『もう一度姫さまと婚約したい』とか言いださないようだし、ま、姫さまが許しているのならいいだろう。
そういや、馭者君も大活躍だったのだが、来ていない。
あとで願いを聞いて、騎士団長経由で陛下に伝えよう。
最後に俺だ。
「俺の願いは――。……その前に、報告があります」
俺は、冒険者時代に、結託したギルドマスターたちから故意に情報を隠され、誰もやらないような安い依頼を押しつけられたり中抜きされて正規の依頼を受けられなかったりしたこと、しかもそれを姫さまとの魔王の調査の旅でもやられ、なかなかイディオ様たちと合流できず、その上ギルドマスターたちは姫さまを侮り不敬に当たる言動を行っていたこと、結果、魔王の調査を邪魔されていたことを語った。
「ギルドはギルドの法で裁かれるのでしょうが、結託して行われていたのでギルド自身がそれを隠す可能性があります。……ですが、俺は許せません。これらの罪を広く知らしめ、あがなわせたい。その助力をお願いしたい」
周りが静まる。
陛下は姫さまを侮った話ですでに渋面だ。ホント仲のいい親子だね。
「承知した。貴殿は今代の勇者だ。しかも、魔王を倒した功績がある。そのような者が虐げられていたとなれば、ギルドも隠し立てはすまい。……パシアンに不敬を働いた件もあわせて裁いてみせよう」
陛下、言い切った!
ありがとうございます!
でもソレ、大半が姫さまの不敬を問題視してるよね?
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本日、やんちゃ姫さまの大冒険のコミカライズがニコニコ漫画とカドコミwebで掲載されております!
回を増すごとに姫さまが可愛くなってきますね!




