第104話 護衛騎士、尋問する
気づいたら、異形も含めて周りはすべて吹っ飛んでいた。
えっと……死んだのかな? 俺。
…………そりゃ死ぬよな。
あんだけ丈夫な異形を吹っ飛ばした力の間近にいたんだ。しょーがない。
……姫さまに妹のことはお願いしたし、きっと大丈夫――
「アルジャン!」
「うぉっ!」
後ろから姫さまが飛びついてきた!
「あれ? 姫さま?」
「無茶するな! 死んじゃうかと思ったぞ!」
姫さまが泣きながら言った。
無意識に抱き上げ姫さまの頭を撫でつつ、生きているのを不思議がった。
振り返ると……みんなも無事だ。
「……おい、生きてるか?」
「……し……し……、死ぬかと思った!」
「びび、ビックリしました!」
「無事じゃねーよ! クモコとハナコがやられた!」
「……なんとかスクラップ手前で済みましたけどね」
「損傷が深刻です」
「ゲェエップ」
最後がなんかおかしいけど、全員生きてはいるみたいだ。
ふと見ると、すごい数の人形が散らばっていた。
姫さまが、身代わり人形を全部撒いたらしい。
「助かったのは姫さまのおかげのようですね。ありがとうございます」
「もう、無茶するな! お前が仲間と戦うのを望んだのだろう!? なら、仲間と戦え!」
う。
……そう言われるとツライ。
ホラ、だって俺、ずっとソロだったから。
仲間とうんたらかんたらって、あんまり得意じゃないんだよね……。
檻に囚われていた連中も、距離があったせいか檻が頑丈だったせいか、なんとか無事だった。
ただ、正気に戻るかは判らない。
……ま、それはこれから問いただすけどね!
異形を造り出した男もなんとか生きていたのだ。
……コイツ、自分だけ緊急避難用のポッドに入っていたんだよ。
さっきの攻撃で半壊し、最後は勇者の剣でぶっ壊したけど!
*
全員で囲み、アニキがちょっと撫でてあげながら優しく質問する。
まず、囚われていた連中だが、薬が切れたら元に戻ると言っていた。
そりゃよかった。
救出にきたわけじゃないけど、出来れば助かってほしいからね。
あとは、ここがなんなのかを聞き出そうとしたら、べらべらしゃべり始めた。
やはりというか、ここは元研究施設だったらしい。
――はるか昔、国を挙げての実験をしていた。
そこで、別の空間につなげる装置を開発した奴がいたのだ。
ただ、しっかりとつなげられたのは一つだけ。
他は、不安定だった。
その穴へ偵察用に飼いならされた動物を送ったのだが穴を通り抜けた後、戻ってこない。
穴を潜ると指令が切れてしまうらしい。
さまざまな動物を送ってみたが、全部帰ってこなかった。
さらには、穴から爆破物が投げ込まれるようになり、穴の向こう側は危険だということで実験を中止。
研究所は封鎖した。
その文献を読んだコイツは、自分の研究に使えると考えて場所を探し出し、中に入り込んで実験をしていたという……。
「人類の進化の実験だ! 確かに爆破物は投げ込まれるが、実験動物は事欠かないし、素晴らしい進歩を遂げたのだ! もっと実験をすれば、もっと……ギャアア!」
アニキが大剣で男の足を撫でて黙らせた。
俺は、男に尋ねた。
「最初につながった穴は、閉じられないのか?」
「…………そうだ」
なんか、ウソを言ってるっぽいな。
「……姫さま。なんでも正直に話すような魔道具はないですか?」
「あるぞ」
即答し、アイテムボックスから取り出した。
「これを飲ませろ。【おしゃべりドリンク】だ」
姫さまが手渡してきた。
男はギョッとして逃げようとしたが、アニキが顔面をつかみ、鼻をつまんで顎をこじ開けたので、俺は流し込んだ。
男はひとしきり咽せた後、急に顔が輝きだした。
そう――『なんでも聞いて! 語っちゃうよ!』って顔をしている。
飲ませた俺がいうのもなんだが……ちょっとキモい。
「最初につながった穴は、つながったままなのか?」
俺は男に繰り返した。
「――いや、大元の装置を破壊すれば止まる。もう二度と成功しないであろうから固定したままにしているのだ。――この世界は、末期だ。生き残っている人類は少ない。だから私は、人類の進化の実験をしている。進化を遂げて、穴に飛び込み、アチラの世界で生きるのだ……。それを昔の連中も考えていたから、穴を固定したままにして閉鎖したのだろう。……弱虫が。結局穴に飛び込まずに滅びたのだ」
「いや、お前だって飛び込んでないじゃん。飛び込ませたの、俺たちの国から攫ってきた連中じゃん」
思わずツッコんでしまった。
ギャアギャア言い返してきたが聞き流し、俺は考え込んだ。
顔を上げると、男に言った。
「よし。大元の装置と、あと、俺たちの国に行けるようになりそうな装置のある場所、あと、これは絶対に知られたくない場所や、壊されたくないなって場所に案内してくれ」
全部破壊しようっと!
一日遅れましたが、コミカライズ第2話後半が更新されております!




