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いつも通りでは無くなる時

本日は殿下との月に一度のお茶会、入学してからは初めてになります。勿論ハーバイン様にも連絡を入れました。

前夜から城にいらっしゃるそうで朝食は共には致しませんが、殿下の元には共に向かっていただけるそうです。


「本日はどのようなお茶会になるのでしょうか。」


「クランディッド様は二席しかないテーブルを見てどんな反応をされるんでしょう。」


「ふふふっ。このような気持ちで殿下にお会い出来る日が来るとは思いもよりませんでしたわ。」


朝食後、城に付き馬車を降りようとするとハーバイン様がエスコートして下さりました。まだ私からはご連絡しておりません。


「お待たせしてしまい申し訳ございません。」


「私が早くリリエール嬢に会いたかっただけなので。さあ、サウマ侯爵令嬢、スノウェル侯爵令嬢もどうぞ。」


「ありがとう存じます。」


「ありがとうございます。」


優雅なエスコートを受け殿下の元に向かうと、賑やかな声が聞こえてきます。本日はすでに側妃様がお見えのようです。


「側妃様並びにマルクレール殿下にご挨拶申し上げます。」


「あら、遅かったわね。それに、呼んでもいない者がいますわ。」


「本日は城で茶会が開かれると聞き後学の為に同行させていただきました。」


「招待されていない者が来るとは礼儀知らずな、即刻立ち去りなさい。」


「そうさせていただきたく思いますが…実はその話をある方に話したところ後程顔を出されると申されまして、その方が来られるまでは留まらなくてはなりません。」


礼をしている状態ですがハーバイン様のお顔をチラリと見ればその視線が一瞬、側妃様の奥に向けられました。その先には…。


「?!」


「リリエール嬢、そのまま。」


「ある方?貴方のお知り合いならロクな方ではありませんね。」


「母上、いつも通り早くケーキを受け取って帰してしまいましょう。私と母上の時間が減ってしまいます。」


「マルクレール、そうですわね。このような者達に費やす時間が惜しいわ。ハルソン公爵令嬢、本日の手土産をコレへ。」


「か、かしこまりました…。本日はレアチーズタルトを御用致しました。」


「貴女は手土産のセンスだけは素晴らしいですわね。」


「お褒めに預かり光栄にございます。」


「さぁ、マルクレール。二人で茶会を楽しみましょう。」


「…では他の者は我に着いてくるが良い。」


「な?!へ、陛下!!」


静観されておられたこの国で最も尊い方…。きっとハーバイン様がこの場に来て頂けるようお話下さったのでしょう。側妃様と殿下が慌てて席を立ち礼をとられておりますが全てお言葉はありません。


「何をしておる。行くぞ。」


「御意に。リリエール嬢、サウマ侯爵令嬢とスノウェル侯爵令嬢も行きましょう。」


「はい。側妃様、マルクレール殿下、失礼致します。」







「楽にするが良い。」


案内された場所は応接間で目の前に陛下、お隣に王妃様がおられ直ぐにでも失礼させていただきたい気持ちで溢れてしまいます。


「さて、先ずはハーバインから話を聞こう。」


「はっ。ご報告の通り、マルクレール殿下と婚約者候補のご令嬢方との茶会に同行致しました。しかし、茶会とは名ばかりで席は用意されておらず殿下と側妃様が着席し礼を解かれる事もなく手土産を催促され即刻立ち去るよう仰せでした。」


「まぁ…恥知らずな。」


「殿下がいつも通りと仰っていた事から今回が初とは…。」


「公爵等に面目が立たんな。」


「発言を許そう。ハルソン公爵令嬢、これまでの交流の様子を包み隠さず話せ。」


「はい。マルクレール殿下とは幼き頃より月に一度の茶会が交流の場となり、学園に通い始めてからもそれは変わりがございません。他家の茶会やパーティー等でのエスコートも無くご挨拶に一言お言葉をいただくのみにございます。


また、婚約者候補となった年より殿下の誕生日に贈り物をさせていただいておりますが、殿下から贈り物を賜った記憶はございません。

サウマ侯爵令嬢とスノウェル侯爵令嬢とは互いの状況を報告し合っておりますが…。」


「あいわかった。我はやる事ができた。そなた等は寛いでいくが良い。」


「お心遣いありがとう存じます。」


「さぁ、皆楽にして。陛下も部屋を出られましたし、ここは非公式の場です。自由に発言をしてかまいません。ハーバインも伯母として接して。」


「わかりました。」


陛下が席をお立ちになられたとしても目の前には王妃様がいらっしゃるのです。フランシスとナターリアのかおいろも真っ青のまま…仕方の無い事ですがこのままでは陛下のお心遣いが無駄になってしまいます。


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