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理不尽に負けぬように

昨日、入学式も終わり本日から授業が始まります。割り当てられたクラスは三人揃ってAクラス。表向きその様になっております。


実際は三人共に学年トップ10名が入るSクラスですが、知っているのは教師陣のみですし、Sクラスは定期考査で成績が10位以下にならなければ学園内で自由に過ごせるので私達はカモフラージュでAクラスの授業を受ける事にしました。


クラスメイトの方々は色々察している様子はみせても言葉にはせずに見守って下さっています。


「入学したのだからお昼に殿下にご挨拶しましょう。」


殿下は一つ上のクラスの為、四階の私達とは違い三階で学ばれています。

授業の予定は分かりませんので昼食時に挨拶を、と思っておりましたが…。


「ここにリリエールはいるかっ!」


「はい、ここに。」


「貴様…何故直ぐに挨拶に来ない。」


「殿下の予定が分かりかねた為、昼食時にご挨拶をと……。」


「遅いっ!朝一番で来るべきであろうっ!!」


「申し訳ございません。」


「本当ならSクラスでなければならない所をAクラスとはな……」


「末席ながら何とか……。」


「ふんっ。これ以上私に恥をかかせたら許さん。Bクラスなどになろうものなら母上に言って家ごと潰してくれるわっ!」


「…努力を重ねて参ります。」


「当然だ。学園に入学したとはいえ今後も貴様らと顔を合わせるのは茶会のみだ。心しておけ。」


「畏まりましてございます。」


まだ始まる前ですが疲労感が…。

それにしてもCクラスに甘んじてらっしゃる方のお言葉とは思えませんでした。

殿下の方から関わるなと宣言していただけた事は大変嬉しいですが今後は平和な日々を送りたいものです。





昼休み、私達三人は食堂では無く学園長から特別にお借りしたお部屋で昼食をとります。今後は避難場所としても重宝しそうですわ。


「朝から殿下(アレ)に絡まれるとは思いませんでした。」


「ナターリア、お口が過ぎますわ。」


「申し訳ありません。この場には誰も居ないと思うとつい……。」


「気持ちは分かりますが気をつけなさい。それにしても、Aクラスの授業は良い復習になりますわ。」


「リリエール様は教養が高くて素晴らしいです。私は少し忘れている部分もありました…。」


「私もです。Sクラスから落ちぬよう精進しなければ……。」


「二人なら大丈夫ですわ。きっと三年間Sクラスに在籍できます。」


「ところで、リリエール様に少々ご相談があるのですが…。」


「まぁ、何かしら?」


ソワソワしながらとても言いづらそうにしているナターリアはとても珍しいです。物事をハッキリと言葉にする事が多いのでとても気になってしまいますわ。


「じ、実は…………わ、私…………き、気に、気になる殿方が……デキマシテ……。」


「まぁっ!素晴らしいわ!!」


「立場上良くない事は分かっております……でも…どうしても気になってしまって…………。」


「ナターリア様、ナターリアの気になる殿方は偶然にも学園にお勤めなのです。」


「まぁ、そうなの?フランシスは知っていましたの?」


「知っていたというよりナターリアが恋に落ちる瞬間を目撃いたしまして…。」


ナターリアの代わりにフランシスがすらすらとお話してくれます。


フランシスとナターリアは同じ侯爵家の令嬢という立場から招待を受ける場に居合わせる事が多く、その日も夜会で顔を合わせたそう。

その夜会に出席していた辺境伯家のご令息にナターリアが一目で恋に落ち、惚けているところにご令息が話しかけに来られ良い雰囲気になったそうです。


「彼…ファルージャ様は辺境伯というお家柄王都に来る事がほぼ無く……私が殿下の婚約者候補とは知りませんでした。夜会でお伝えしたのでそれきりと思っておりましたが……。」


「どうやら一目惚れ同士だったようで、叶わなくとも傍に居たいと学園の警備の一人として働き始めたそうです。」


「まあっ!素晴らしい行動力ですわ。ナターリア、貴女は確かに殿下の婚約者候補です。しかし、候補は候補、可能性が高いだけあって確定ではありません。

更に私達はその座を穏便に辞する事を誓いあったのです。今はまだ公にしてはなりませんが、その気持ちを大切に育てなさい。」


「リリエール様……。」


入学早々このような話が出るとは思いませんでした。

殿下の成人までにと思っておりましたがそれではナターリアが可哀想ですわ。




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