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入学前のお茶会

天気は恨めしい程の快晴。

いつもなら晴れやかな気持ちでベッドから出られるのに今日憂鬱で無意識に溜息が出てしまいます。


「おはようございます。お嬢様、お支度をさせていただいても宜しいでしょうか。」


「おはよう。ええ、今日は殿下とのお茶会だからその様に。」


「かしこまりました。」


殿下とのお茶会と言うだけで侍女は地味なブラウンのワンピースを用意してくれ、髪もキツめに纏め小さな黒いリボンでとめるのみという地味スタイルをつくってくれる。

もちろんお化粧もピンクや赤は使わずブラウンでナチュラルに。


「良いわね。」


地味に見えるけれど最低限のマナーはクリアした殿下専用スタイル。


「本日も朝食はいらないわ。いつも通り二人とカフェでとるから。」


「かしこまりました。」


殿下とのお茶会の日はフランシス、ナターリアと朝食をとりながら茶会について話し合う事にしてます。

殿下は私達と過ごした事実があれば良いしストレスの捌け口にしてくる事が多いのです。いかに回避するかはとても重要ですわ。






「殿下、本日もお越しいただきありがとうございます。」


「ふんっ!本当に、こんな所に来るくらいなら母上と過ごした方が余程有意義な時間になるというのに…毎回の事ながら腹ただしい。」


今日はどうやら機嫌が良さげですわね。代表して私が挨拶をするこの時にこの程度の嫌味ならノーマルシフトで良さそうなのでバレないように二人にアイコンタクトをとると二人共が僅かに頷きました。


「殿下の貴重なお時間をいただき申し訳ございません。本日はお手土産にチーズスフレをお持ちしました。お二人でお召し上がりください。」


「チーズスフレか。母上の好物を持ってくるとは気が利くな。今日はもう下がれ。」


「はい。御前、失礼致します。」


これで本日のお茶会は終了です。

用意されたお菓子やお茶に手を付けないどころか私達は席にすら座らない。

普通そんなものはお茶会とは言いません。しかし、殿下とのお茶会はそうなのです。


席は二人分しかなく一席は最初から殿下がお座りになっている。空いている席は私達では無く後程来る側妃様用。

私達は礼を解かれる事もなくお手土産を渡して退散。

殿下の機嫌が悪ければそのままの姿勢で延々と罵倒されます。最悪の場合、紅茶をかけられたり用意されているケーキで服を汚された事も…。ですのでまだ本日は良いお茶会でした。





「二人共、本日もお疲れ様でした。」


「リリエール様こそお疲れ様でございました。」


「いつも何も出来ず申し訳ありません。」


「公爵家の娘である私の役割ですもの。気にしないで良いのですよ。それに、本日は何事も無く直ぐに辞する事ができましたわ。」


殿下とのお茶会の後はカフェの個室で三人でゆったりとお茶をします。

朝食をとった場所とはまた別でここは我が公爵家の運営するカフェですので、気兼ね無く個室でゆったりと過ごすことができるのです。


フランシスはブルー、ナターリアはグリーンのシンプルなワンピースを着用してます。それぞれ地味な装いを心がけて参加している為、この姿を知り合いに見られるのは少々恥ずかしいですわ。

それに、もし殿下に服を汚されてもここならば着替える事が可能です。


「それにしても、入学前なのにお祝いの言葉もいただけないとは……。」


「ナターリア、殿下がそのような事をするはずが無いわ。」


「そうですわね…。そのような事があれば本日は雨が降ったに違いありません。今まで私達の装いに関しても一度の申されたきりですもの。」


「そうですよね。はぁ……早く婚約者候補から外してくれれば……。」


「このままだとリリエール様を正妃に、私達を側妃にとなり兼ねないわ…。」


「「「はぁ……。」」」


マルクレール様は第一王子ですが側妃にがお産みになった方、正妃様も第二第三王子と第一王女をお産みになられております。複雑な問題でまだ王太子は指名されておりません。

ご実家の力が強くない側妃様としては有力な公爵家である我が家に加え、フランシスとナターリアの家の力も取り込みマルクレール様を王太子にとお考えと思われますが…。


「そういえば先日、学園長とお話をして私達が試験で上位二十名に入っていても公表しないとお約束いただきました。」


「「本当ですかっ!!」」


「ええ、各家にも私達の学園の様子が殿下や側妃様に漏れぬよう手を打ってあります。ですのでわざと成績を下げなければいけないといった事はありませんわ。」


「「ありがとうございます。」」


私達の学園生活は一度きり、邪魔などはさせませんわ。



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