第一話 プレゼンツッ!
「あぁ……暇だ……暇過ぎる。退屈過ぎて死にそう……」
僕こと業炎龍雅はとても退屈していた。
だってさ、しょうが無くない?
ゴールデンウィークの午前中、特に二日目なんて、宿題が終わったら何もすることないじゃん?
面白いバラエティーのテレビもやってないし、大抵この時間帯はいつもニュースか将棋かしかイメージないしさ。
先月買った本達はもう読み切った。買ったゲームも全てコンプリートしたし。
はぁ〜また新しくゲームでも買おっかな〜
でもなぁ面白いと思うゲームなんて大半はもうやったし……
なら、いっそのことデータ全て消してやり直そうか……
そう真面目に検討し始めたとき
ピンポーン
誰か来た
仕方無いので、ソファから降りて玄関に向かう
両親は仕事で暫く居ないから来客は僕が相手しないといけない。
面倒だなぁ
面倒だが、玄関に行きドアを開ける
「はいは〜いって、なんだ夢月か。何の用?」
「あっ、龍雅。何の用?って、遊びに行くねって言ったよね?」
この黒髪ロング美少女は白羽 夢月
僕との関係で言えば、俗に言う幼馴染ってやつかな
まぁ、それに該当するもう一人の方はまだ来てないみたいだけど
で、遊ぶ約束?
……あぁ、そういえば昨日連絡したんだっけ
「え、あぁ……暇すぎて忘れてたよ」
「暇すぎて……暇だからおいでって言われたのに…まぁ、いいけど。いつものことだし」
「というか、蓮は?夢月にメッセを送ったなら蓮にも送ったはずだけどまだ来てないの?」
う〜ん、どちらか片方だけに送った記憶なんてないんだけど。
そもそもグループ会話だったし
「あぁ、今くるよ」
「わりぃ遅れた!いやぁすまんな。すっかり忘れてたわ」
「いや、僕も忘れてたし……それよりもそれ何?」
今来たのが浅田 蓮。
金持ち、高身長、身体能力抜群ただし、勉強が出来ない。いわば陽キャである
上記を見ればわかるだろうが、かなりモテる
そんなこと、今はどうでもいいけどね
今大事なのは蓮が持ってきた謎の箱だ
「ん、あぁこれか。ふっふっふ。
聞いて驚け見て笑え。これはな、最近話題の『OUTLAW ONLINE』というVRMMOのパッケージだ!」
「ごめん、なんて?」
えっ……何でそんな物がうちの家に?
あれって物凄く高いんでしょ?
確か、今一番人気のゲームなんだっけ?
と言っても、まだ抽選のβ版しかやってないみたいだけど
「それは、龍雅の誕生日プレゼントだからだね。最初は教えておこうかなっておもっていたけど、「秘密にしようぜ!レッツプレゼンツッ!」っていって蓮が聞かないからこうして、秘密にしてたんだよ」
うわぁ……確かに蓮ならありえる
まぁ秘密にしてたくらいでは怒らないけどさ
ていうか
「平然と心を読まないで」
「いいじゃん、減るもんじゃないし」
「僕の心が擦り減るよ」
「ハッハッハ!龍雅はそんなやわなお豆腐メンタルしてないだろ!冗談きついぜ!」
「蓮の僕に対する認識について少し話し合う必要があるようだね。ごめんね。夢月。今日を最後に、蓮の姿は一切消えるよ。今のうちに別れの挨拶を済ませておいてね」
「別に惜しくもなんともない人が亡くなったちゃったね」
「頼む。真顔でお前らが言うとまじで冗談に聞こえないから辞めてくれ」
えっ、嫌だなぁ冗談に決まってるじゃないか
目がマジだったって?
そんなのは演技だよ。ね?
ん、あれ?
「そういえば僕の誕生日って今日だっけ?」
何で僕も忘れるんだろう
いくら暇すぎて死にそうでも自分の誕生日くらいは覚えていないと
自分の誕生日は友達のほうが知っているってレアだと思わない?
蓮と夢月の誕生日?
さぁ……?
「あ〜、まぁ、正確に言えば来週だが、このゲームの本サービス開始が明日の七時頃だからな。こうして早めに持ってきたのだよ。ワトソン君」
「誰がワトソン君だよ。て言うよりいいの?貰っちゃって。確か高いんでしょ?これ」
流石に数十万以上するものは貰えないなぁ
まぁどうせ蓮のお父さんが出したんだろうけど
あの人僕と夢月に甘いからなぁ…
その『厳しさ』のしわ寄せは息子である蓮に向かってるけど、何だかんだで親子の仲は良好らしい
そう聞くと、二人は視線を交わして…
「「大丈夫だ。問題ない」」
「それ言いたかっただけじゃない?」
「いいだろ別に!このためだけに夢月を説得したんだからな!」
「ネタに飢えてる龍雅には丁度いいよ」
誰がネタに飢えてる獣だ。
「っと、話を戻すが、そもそもこれは夢月の友達がβプレイヤーだった特典としてタダでもらっただけだからな。
「貰える限度まで貰ったのはいいが、よくよく考えたら渡す人居ない……」って言って貰ったものだからな。
因みに俺の分は買ってもらった」
「あぁそうなんだ。なら別にいいかな」
「タダならいいんだ……」
タダでもらえる物に罪はないからね
貰えるものは貰っておこう
「あぁそうそう、当然だけど説明書は読んでおいてね。それでも分からなかったら公式サイトでもみるといいよ」
「は〜い」
「じゃあ、私は一度帰るね」
「俺も帰ってアバター作んねぇと。龍雅も早く作っておけよ!サービス開始したら噴水に集合な!!」
と言って二人は帰っていった
「もうちょっとゆっくりしてけばいいのに」
嵐のようだったなぁ
いや、いつものことか
そんなことに気付き、僕は一人苦笑した
まだまだストックはある!
あとは気合が続くかどうかかな