筋肉兎年〜AI作成〜
その日、世界の兎達が筋肉だるまとなった。
そして彼らは思った。
今こそ愛玩動物の枠組みから外れ、さらに愛される立ちふるまいをせねばと。
『バニーガール』は、彼らの新たな道しるべとなり――
「お待たせしました! 当店名物『うさぎのステーキ』です!」
筋肉だるまの兎腹筋プレートに置かれたステーキ。
……それはもう、盛大に迷走した。
「…………」
「…………」
「あのーお客様? ご注文は以上でよろしいでしょうか?」
「あぁ」
「では、どうぞごゆっくり」
テーブルの上に残されたのは、ウサギのステーキ(筋肉質)のみ。
さて、この肉を食べたらどうなるのか。
それを試してみる勇者はいない。
「……帰ろうか」
「うん」
二人は店を後にする。
そして、二度と『うさぎ亭』へ行くことはなかった。
「そういうわけなんだが、我らが愛されるにはどうすれば良い!」
「人間の間ではバニーガールと呼ばれる物があるらしい。それを試してみればいかがか」
「うむ! 早速手配しよう!」
筋肉ダルマな兎達はそう言って、『バニーガール』となる。
はちきれんばかりの大胸筋。
先月優勝したボディービルダーの大会で巨乳と持て囃された鋼の肉体。
今度こそ完璧なはずだった。しかし――
「きゃあああ!! 何よあれぇ!?」
「化け物だわ!!」
「ひぃっ……こっちに来るな!!」
町行く人々は皆逃げ惑い、叫び声を上げている。
ある者は腰を抜かし、またある者は涙を浮かべながら走り去った。
筋肉ダルマ達の顔色は青ざめていく。
「なぜだ……」
「どこで間違えたのだ……」
「やはり我々のような筋肉は人間の女からしたら恐怖の対象なのか……」
「だが、諦める訳にはいかない!」
「そうだ! 我々は愛されなくてはならないんだ!」
こうして再び彼らは筋肉の道を突き進む。
目指す先は、更なる高み。
鍛え上げた筋肉美。
その先に待つものは何か。
「お待たせしました! 当店名物『うさぎのステーキ』です!」
筋肉ダルマな兎腹筋プレートに置かれたステーキ。
彼らは脳筋だった。
筋肉がダメなら筋肉を鍛え、またダメならさらに筋肉を鍛え。
そんな調子で運営を続けようものなら、結末は必然とも言えた。
かくしてうさぎをコンセプトに癒やしを提供するカフェが廃れていく。
昔こそ愛玩だった動物たちは、今やボディービルダーでしか注目を浴びなかったのである。
客足が遠のいたカフェ。
しかし来年になる頃には、ウサギ達は元の落ち着きを取り戻したのだった。
最も、1年越しにコンセプトカフェが潰れていくことになるのは言うまでもない。