2話
拓哉は国道沿いのコンビニに入る。駐車場も広く、会社に帰る途中でよく立ち寄るところだ。
「もしもし、桐敷ですが」
すぐにユリにつながる。どんな用件かは幾つか想像はつく。
「すいません。お忙しい中」
「どうかなさいましたか?」
「言いにくい事なんですが……」
ユリの声にまるで元気がない。蟹鍋以来、わかりやすく距離を置いたからだろうか──。
「……この間の刑事がお店に来ました」
幾つか想像していたものではなかった。全く頭になかった事であった。拓哉のところには来ていない。この間、アパートに来た時が最初で最後だ。
「本当ですか! こちらには来てません」
「それがですね……」
「何か言われましたか?」
「瑠璃ちゃんの事でちょっと」
「えっ! 瑠璃? どんな事ですか?」
「いや、どんな人か聞かれました。桐敷さんとの関係も」
上田カイリの件のはずだが、何故瑠璃の事をユリに聞きに来たのか理解出来なかった。
「16歳だし、桐敷さんがお付き合いしている事は言ってません。知らないって言いました」
「申し訳ないです」
「いや、全然。でも、根掘り葉掘り聞くもんですから、取り引きしてまだ間もないので何も知らないとしか言えませんでした。実際、桐敷さんの彼女という事以外知らないし」
当然、警察は拓哉の前科については把握しているだろう。瑠璃との関係もある程度調べはついているかもしれない。拓哉は取り繕うにも限界があるし、ユリに全てを話す覚悟をした。
「ユリさん、これからお会い出来ますか?」
「はい! 2時間後ぐらいなら」
拓哉は車内の時計を見る。会社に戻って着替えて出掛けるとなると、早くても8時半過ぎになるだろう。
「9時頃どうですか?」
「分かりました。車でそちらに向かいます」
「いえいえ、この間も来て頂きましたからこちらが指定の場所に向かいます」
人目のつかない場所の方がいいとユリは言う。刑事がつけてくるかもしれないから、車の方が色々と都合が良いと──。
「分かりました。9時に。気をつけて来て下さい」
「分かりました。桐敷さんも気をつけて運転して下さい」




