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15話

 

「私も何か変な感覚があったの」


「どんな感じ?」


「桐敷さんに初めて会った日」


「静岡ですね。パンクしてて」


「顔を見た時、実は私も何処かで会った事あるんじゃないかなって」


「同じじゃない。でも、二人ともそう思うのって珍しいですよね」


「それだけじゃなくて、何故か死ぬ前の妹の顔が浮かんだの。随分前だし、普段はそんな考えたりしないし、妹の存在自体も薄くなっていたから」



 初めて行った場所なのに、何故か懐かしかったりする──それは前世の記憶のカケラかもしれないと拓哉は思っていた。ユリともおそらく前世で会った事がある人なのかもしれない。それも、すれ違った程度の薄い縁ではなく、もっと深い関係の可能性が高い。



「妹は好きな人と死ぬって言ったんだ。私にだけだと思うけど」


「言ってましたね。心中的な事ですか?」


「結婚相手とかありとあらゆる事が自由に決められないって悟ってたから。私たち姉妹は」


「でも、本当に死んでしまうなんて……。二階堂さん、とても厳しい家庭に産まれたのですね」


「そうね。親は勝手な事をしているのに……」



「そんなに厳しいって、何処かのロイヤルファミリー的なレベルじゃないですか」



 ユリはまた口籠る。普通の家庭ではそんなに厳しくはない。普通という基準も定かではないが、一般的な家庭ではそこまでがんじがらめではないだろう。



「引かない?」


「引くほどなの?」


「多分。独立したつもりだったけど、手のひらの上で転がされていた感じ」


「それはどういう意味?」


 静岡から仕入れている農家さんは割と有名な人で、“一見さんお断り”のスタンスを貫いていたのに、すぐにアポイントが取れた事にユリは少し不信感を抱いていたが、そこまで深くは考えていなかった。



「先方さんから、お父様にくれぐれもよろしくとお伝えくださいって言われたのよ。メールで」


「裏で手を回していたという事ですか? でも、ユリさんの会社的にはラッキーな事なんでしょう?」


「そりゃ、あそこのお茶を使ったものと書いただけで売れますから……。でも、見張られてたんだと思うとショックで」





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