14話
“実は私は拾われた子?”
兄弟、姉妹がいる人はそんな不安感に襲われた事が一度はあるかもしれない。
“人は二人以上いれば優劣をつけたがる生き物である”
身近にいればいるほど、その不毛な争いに強制参加させられてしまう。例えば、奇跡的にそれを望んでいない関係であっても、両親や、第三者から悪戯に煽られたりする。否が応でも意識せざるを得ない状況に落とし込まれてしまうのだ。優っている方はまだいい。劣っている方は地獄でしかない。それが、兄や姉の方なら尚更だ。
「ある意味、親が違ってくれって祈ってたの」
「何で? 悲しいじゃない」
ユリは首を大きく横に振る。
「だって、納得いくじゃない。そりゃ愛されない訳だって」
「……そうですね」
「血が繋がってると証明されて愕然としたもの。ダメじゃんって」
「……」
「だからね……」
ユリは言葉に詰まる。その後の台詞が彼女の”闇“の部分だとすぐに悟った。
「妹が死んで悲しかったけど、ホッとしたの。私、心のどこかで喜んでたのよ」
ユリの大粒の涙がテーブルに落ちて広がる。そんな自分が悍ましく思えて苦しんできたんだろうと──。出会ったばかりで、まだ何もユリの事は知らないがそんな人ではない事は分かる。
「それほど、苦しんだって事ですよね」
拓哉は右手の薬指でユリの涙を拭う。嫉妬の渦の中がどれほどきついものかは、ホスト時代に嫌というほど味わってきた。No.1になる為には、疎ましい現No.1に降りてきてもらうか、引きずり下ろすしかない。ユリのそれとはまた少し違うかもしれないが、他人の方がまだマシである事は言うまでもない。
「あの娘は、微塵もそんな気持ちは持っていなかったわ。いつも、お姉ちゃんって……」
ユリの過去が映像で心の中に飛び込んでくる。その場にいた訳でもないのに、鮮明に映し出された。とても不思議な感覚だった。
「何とも言えない表情です」
「……ごめん。目も腫れてんじゃないかな」
「いや、今じゃなくて。子供の頃のユリさんの顔が何故か浮かんだんです」
「知らないのに?」
「はい。今の顔しか知らないのに不思議だなって」




