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8話

 

 缶ビールでユリと乾杯をした。この部屋で誰かと酒を交わすのは初めてだ。瑠璃がたまに作り過ぎた夕飯を持って来てくれるが、基本的には一人だ。誰かと乾杯して酒を飲む事で、思っていた以上に孤独であった事に気づく。



「ポン酢、胡麻だれも買って来ましたよ。スーパーのですけど」


「スーパー以外にあるんですか?」


「私がいつも取り寄せているポン酢、凄く美味しいですよ」



 何気ない会話の中でも、生活の水準が違いすぎる事を感じさせる。ポン酢の味などどれも同じだと思っていた。



「それにしても、偶然ですよね。桐敷さん、丁度鍋をしようとしてたなんて」


「びっくりしましたよ。凄いタイミング。一人鍋も悪くはないですが、やはり誰かと食べるっていいですね」


「私も一人で鍋とかします。基本一人なんで」


「食事はいつもどうしてるんですか?」


「桐敷さんはどうされてます?」


「どうもこうも、適当に食べて飲んでますよ」


「私も。こだわって色々と作りますが、出来上がった途端に冷めちゃうんですよ。テンションが」



 ユリは料理がとても好きらしい。凝った料理も作るみたいだが、食べる頃にはとても寂しくなるそうだ。



「実はさっき乾杯した時、めちゃくちゃ孤独だったんだなって実感しました」


「私も。嬉しくなっちゃって。彼女持ちの人でも一人よりいいかなって」


「二階堂さん、たまに猛毒を吹いてらっしゃる事にお気づきでしょうか?」


「猛毒? 事実を話しているだけですが」



 今日のユリは事あるごとに瑠璃の事を持ち出す。それだけ気にしているという事なのか──。



「とりあえず、蟹入れますね」


「美味しそうですね」



 蟹の種類等もまるで分かっていない。まだ少し凍っているが、普段カニカマぐらいしか食べないから、どんな蟹でもご馳走である。ユリは鍋のフタを閉めて、コンロの火を少し強くしていた。



「桐敷さん、あれから警察の方はどうですか?」


「あれからは一度も。そんなに日は経ってませんけど。これからまた何か言ってくるかもしれませんね」


「お亡くなりになられた方は事故ですよね?」


「分かりません。ニュースではそのように言ってましたが」



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