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2話

 

 トラックに乗り込みハンドルを握った瞬間、返信が来た。



『分かりました。じゃあ、お豆腐と締めのうどん買って行きます。20時過ぎにお伺いします』



 拓哉はトラックのエンジンをかける。エンジン音で車体が微妙に揺れる。それと心の音がリンクした。ユリを好きになった訳じゃない。ただ会いたいだけなんだと──。ただ何かを食べている顔が見たいだけなんだと──。拓哉は“了解”とだけメッセージを送る。瑠璃を愛している──だが何処かで保身に比重を置いていた。何かあった時、未成年と付き合っている事はプラスには作用しない。日々普通に過ごしていると、執行猶予中である事を忘れてしまいがちだが、事件を起こしてしまうとあの場所に逆戻りである。そんな綱渡りな恋に未来はあるだろうか? そんな歳の差カップルに未来はあるだろうか? 瑠璃と付き合いはじめてからそんな事を考えない日はなかった。命の恩人である敏生の事も裏切っている事も心が痛い。



『始めるべきではなかったかもしれない』──散々16歳の若い肉体を貪っておきながら言う事ではないが、どう考えても間違っていると感じている。瑠璃を愛しているという気持ちは偽りなのかもしれない。ただ、何があっても味方であるだろう瑠璃の気持ちを利用したかっただけなのかもしれない。本当に愛しているなら、二階堂ユリの事を考える余地などないはずだ。今でも、二階堂ユリの事で頭がいっぱいになっている。どんな服装で来るのか、メイクはいつもより気合いを入れたりするんだろうか、下着は万が一の事を考えて勝負下着なんだろうか、あらぬ妄想が頭をかきたてる。


 わざわざお客さんがくれたからといって、鍋をしようと誘ってくるユリの真意を問いたい。だが、ユリには瑠璃との関係を伝えている。本当に蟹が食べ切れないから一緒に食べたいという純粋な思いかもしれない。残して捨てるには忍びないからだ。それにしても、男の家に一人で来るという事はそういう事になっても仕方ながないとも言える。男からすれば、美女が蟹を持って家に来る事などそうそうない事だ。所謂鴨が葱を背負ってくる状態だ。これ以上なく綺麗にハマっている。



『拓哉、夕飯あるの?』



 瑠璃からのメッセージに一瞬我に返った。

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