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7話

 

「結婚してくれる?」


「前科者だけど……」


「関係ない。拓哉は無実だし、仮に殺していても変わらないわ」



 まだ16歳の瑠璃には明るい未来がある。性虐待を受けていた過去があっても、それを受け入れ、一緒に背負ってくれる人は沢山出てくるだろう。だが、拓哉の背負う十字架とはステージが違う。この先、子供が産まれて家族が出来ても、その子供にも背負わせる事になる。そう考えただけ、真っ直ぐな瑠璃の気持ちがとても眩しく感じた。



「ありがとう。心配ないから。瑠璃が一番」


「ほんとに本当? 私、裏切られたら何するか分からないよ。失うものなんてないんだから。拓哉以外は」


「分かってるよ。同じだよ。瑠璃を失う以外は大した事じゃない」


「ありがとう。会いたい。今すぐ」


「そうだね。でも、社長帰ってくるだろ? また週末にゆっくり会おう」


「分かった。ちょっと安心した」


「じゃあ、家事頑張って」


「拓哉も。野菜もちゃんと食べてよ」



 スマホをシングルベッドの上に置いてテレビをつける。何もない無音の部屋でずっといるのは寂しさで押し潰されそうになるし、納得いかないこれまでの事が頭を擡げるから、出来るだけテレビをつけて過ごしている。



『今日、S駅のホームで転落事故があり、上田ヒカリさん21歳が死亡しました……』


「……」


 偶然見た夜のニュース──テレビ画面の写真はかなり落ち着いた感じだったが、間違いなくベースボールキャップの彼女である。拓哉は絶句していた。メッセージを返しても既読にならなかった。その事が何処かで引っ掛かっていた。まさか、電車に引かれて死んでしまうなんて夢にも思わない。拓哉は慌てて瑠璃に電話を掛けようとしたがメッセージに変えた。社長の敏生が帰宅しているかもしれないと思ったからだ。



『ニュースで、あの女が死んだって』



 瑠璃の返信を待つ──なかなか既読にならない。家事の真っ最中である事は分かっているが、胸が締め付けられて息がしづらい。何故転落したのか分からない。お酒は強くはないがとても好きで、何度か千鳥足の彼女を支えながら歩いた事がある。だが、時間的に夕方というか、酔い潰れるにはまだ早い時間帯だ。



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