4話
「色んな人がいますから。全てではないと思いますが、大事な商品を安全に届けて頂きたいだけで」
「おっしゃる通りです。うちは優秀なドライバーがいますから大丈夫ですよ」
「そちらの方にお願い出来ますか?」
「拓哉ですか? 指名入ったぞ。久々だな」
敏生の冗談に女性は目を丸くしている。何の事だか分からないのも無理はない。いきなり言われてどういう意味か一瞬考えたぐらいだ──。
「グアンに頼めば?」
瑠璃が奥から出てきた。聞こえてくる会話に辛抱出来なくったのだろう──。
「グアンは無理だよ。あいつはほぼ長距離ルートだし。静岡でしたよね?」
「そうです。この間、パンク修理をしていただいた所から車で少し行った所です」
「じゃあ、拓哉で丁度いいじゃないか。得意先も近いんだろ?」
パンク修理をした場所は覚えている。近くに得意先があるが、周辺にそんな紅茶やハーブティーを取り扱うような所があったか思い出せない。
「あそこにそんな洒落た所があったか思い出せないです」
「いえ、静岡のお茶を使ったお菓子を開発しようと思ってまして。お茶の農家さんと契約した帰りでして」
「そうですか。凄いですね。美味しそう」
「試食します? いつでもお店にいらしてください」
「是非伺います。お茶のお菓子って意外にないですよね」
「抹茶とかは沢山ありますけど。静岡のお茶は美味しいですし」
自然に続く会話の中で、鋭い視線を感じた。突き抜けるぐらいのものだ。瑠璃は腹が立ったのか、タイムカードを押して出ていった。
「どうしたんだ? あいつ」
「すいません。何か長居しちゃいまして」
「いえいえ、お気になさらず。また依頼がありましたら、直接彼に連絡してください」
「えっ? いいんですか? 会社じゃなくても」
「拓哉からこちらに連絡させますから。今忙しくて、事務の瑠璃までバイク便をしているぐらいでして」
「分かりました。それでは名刺を頂けます?」
名刺など持っていない。正社員だが、社長意外は持っていないはずだ。
「拓哉、会社のスマホでメッセージ交換しろよ。すいません、名刺はないので」
「分かりました。それでは、依頼はメッセージでさせていただきます」




