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7話

 

 ホスト時代、良くも悪くも様々なタイプの女性と出会った。何より、人間の”欲“というものには際限がなく、満たす為にはどんな事も厭わない、それを仕事の中で学んだ。その為なら平気で虚言を吐き、他人を傷つける、それが人間なんだと。涙を流すその奥で、薄ら笑いを浮かべるのが人間で、誰も彼も利己的で狡賢い。それが人間なんだと。だから、基本的に人間の言う事は信用出来ない。窮地に立ち、他人の弱みを人質のように使う女ならなおの事だ。



『これ以上は関係は続けられない』



 瑠璃は彼女との関係について何も聞かない。本当は聞きたいはずだ。何故なら、反対の立場ならきっと聞きたくて仕方がないから──。だが、彼女は聞かない。嫌われるから? 相手を信じているから? いずれにしても、”愛する“という事を実践している。何かの本に書いてあった事を思い出す。『愛するという事は孤独であるという事』。全く意味が分からなかったが、今なら少しだけ理解出来る。瑠璃がそれを教えてくれた。



『せめて会ってから言ってくれない? 話しがしたい』



 会う事は嫌ではない。顔を見るのも勘弁してほしい訳ではないから。ただ、会う事は瑠璃を裏切る事になると思うから、会いたくはなかった。



『察してくれ』



 短い文を送り、スマホをシングルベッドの上に投げつける。薄手の掛け布団に埋もれるスマホを少し眺める。やはり、過去を知る者は怖い。誰にバラそうというのか分からないが、とにかく怖くて仕方がなかった。例えば、『その女にバラすわよ』と言われた訳ではない。既に瑠璃は知っていて、それでも傍にいてくれているのに一体何に怯えているのか分からなかった。



『別れるにしても会って話す事が最低限の礼儀だわ』



 返信の内容が気になりスマホを手にする。ただセックスをして飯を食うだけの関係に礼儀など必要だろうか──おそらく、会えば何とか気持ちを繋ぎ止める自信があるのではないかと推測した。色仕掛けも厭わず、ズブズブの関係に引きずり込もうとしている魂胆が見え隠れしている。だが、この流れは一度会わないとおさまらないと感じた。文面からも、必死さが伝わってくる。



『分かった。会って話すよ』


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