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4話

 

 グアンはこあがりの座席の真ん中を陣取った。平日の水曜日もあってか、L字カウンターの奥に40代ぐらいの男女が一組飲んでいるぐらいでガランとしている。



「トリアエズビール」


「すいません、生中二つで」


「はいよ」



 カウンターの中に30代半ばの大将が紺色のねじり鉢巻と、紺色の作務衣で焼き鳥を焼いている。もう一人、バイトの女の子がいて、同じようにねじり鉢巻きをしている。歳の頃は22、3歳といったところか──。



「はい、生中です。これサービスです」



 その女の子がサービスの一品をジョッキとともに置いた。六角形の黒い小さな器に、ポテトサラダが盛られていて、上に明太子マヨネーズがかかっている。



「これ、絶対美味いやつじゃん」


「私、作ったんです。初めての突き出しで」


「すいません。商品としてはお金は受け取れないもんで」


 大将が頭を下げている。試食品扱いなのだろう。



「出来れば、意見とか感想があれば教えてやってください」



 大将が深々とカウンター越しに頭を下げている。店員の女の子も丸いおぼんを両手で持ち、味の感想を待っている。



「ウマデス」



 グアンが二口で平らげる。負けじとポテトサラダを口に運んだ。



「美味しいっ! 美味しいよ」


「本当ですかっ? 良かった!」



 この間に一度来たといっても、何ヶ月か前で、その時にはこの女の子はいなかった。少しやんちゃそうな若い男と大将だけだった。店内を見渡すと、以前とは違う雰囲気だ。


 例えばメニュー表──初めて来た時は、少し触るのが抵抗あるぐらいギトギトと油っぽいもので、今は各座席にA4サイズの手書きのお品書き一枚に変わっている。日付けも入っていて毎日違うメニューを出す為なのかもしれない。壁にも、乱雑に張り付いていたメニューも全て取り払われていて、店内の妙な圧迫感がなくなっていた。



「この店、雰囲気変わりました?」


「そうなんですよ。この子が来てからガラリと」


 近くで見た彼女は第一印象とは違って見えた。22、3歳ぐらいと思ったが実際はもっと上かもしれない。黒い髪の毛はピンク色のシュシュで束ねられていてとても清潔感がある。飲食店といえ、近頃では派手なネイルや化粧なんて当たり前だが、彼女はそうではない。化粧も最低限で、爪も綺麗に切られている。

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