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18話

 

「かなり積極的じゃない? どう思う?」


「だから、どうしても近づきたいんでしょうよ。どんな手を使ってでも」


「子供の頃の影響かな。そういう女性にあまり良いイメージなくて」



 古傷が疼いていた。母親に捨てられた件や、施設での情事、ロクな記憶やイメージがないからどうしても構えてしまう。



「拓哉も色々あったんだね。そんな女性ばかりじゃないだろうけど、この人は怖いよね」


「やばいぐらい色々と瑠璃ちゃんに話してる。止まんないや」


「逆に嬉しい。でも、母親の件が一番ダメージあるんじゃない?」



 父親が誰であるかも分からないし、男は取っ替え引っ替えボロボロの文化住宅に連れ込んでいた。その度に真冬でも2時間ほど追い出されたりしていた。事が済めば呼び戻してくれる訳でもなく、ただひたすら男が出ていくのを待っていた。そんなどうしようもない母親だが、たまに作ってくれる卵入りのインスタントラーメンが美味しくてその味が未だに忘れられずにいた。



「一度会ってみるよ。放置だと何されるか分からないから」


「うん。私も付いていく。見つからないように監視するわ」


「大丈夫だよ。一人でも」


「何かあってからじゃ遅いし、どんな人か気になるからさ」



 下手すれば親子ほど歳下の瑠璃に頼りきりになっている自分が心地良く、恋人というより母親を照らし合わせているような気になっていた。母親の愛情に極端に飢えているとはいえ、瑠璃は16歳である。普通に事務員として働いているから錯覚してしまうが、本来なら高校一年生である。先程たこ焼き屋の前で見かけた女子高生の中に紛れていても何ら違和感はない。寧ろその方が自然で、刑務所あがりのアラフォーの心配などさせている場合ではない。



「可愛かった?」


「ほんと覚えてないんだよ。ベースボールキャップを被っていたし、手切れ金がどうとか言ってたぐらいで」


「あの茶封筒みたいなのでしょ? あれお金だったの? 割引券って聞いてたけど。先方から」


「分かんない。彼女はそう言ってたよ」


「そこから何で電話番号の交換になるのかが謎」


「そうだね」


「確か、駅まで送るとかどうとかの話ししてたよね?」


「そうだっけ? 忘れたよ」


「ヘルメットがないとかどうとか」


「あっ、そうだ。よく覚えていたね」


「とりあえず、何かムカつくし、どんな顔か拝んでやるんだから」

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