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最強国家第5王子のグータラ生活計画!!  作者: 麻山おもと
第1章 グレーステ王国
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毎日三食





 また朝がきた。


 僕がマリアに身支度をしてもらおうとしていたとき、扉が勢いよく空いて、母親が入ってきた。…最悪だ。




 母親は四年前、自分に生意気にも口答え(意見)したマリアが気に入らなくなり、だから無実のマリアを適当にでっち上げた罪を被せて一時追い出した。だから、マリアを見ると途端に不機嫌になるのだ。





 マリアもやってしまったという顔。


 「貴方!私の息子に触るなど何様?早くこの部屋から出ていきなさい!」

 「……分かりました。」

 「お母様、申し訳ございません。あのメイドが近くにいたものですから…、早く身支度を終わらせてお母様の様子を見に行きたくて頼んでしまいました。本当にすみません。」

 「シュリヒト、貴方どこまで私をイラつかせるの?どこまで親不孝者なの?王家の証を持たないどころか、母親に逆らう者を側に置くなんて…!いい加減にしてっ!誰が産んでやったと思ってるの?覚悟しなさいっ!」

 「はい…、お母様。」

 「貴方を王位につかせるために産んだのに私の家系でも何でもない、しかも王家の証を持ってさえいない。ねぇ、どういうこと?私がしてもいない不貞を周りの下級貴族達に囁かれ、噂にもなったのよ?

 しかも白髪!この国で誰も持っていない髪色。

私の息子として生まれてきたのに気味が悪いったらないわ。最終的にお父様にも怒られて散々だったのよ?その苦労があなたにわかる?貴方は私に何かくれた?暗殺も出来ない。盗みもできない。…何も私にしてくれてないじゃない。折角産んでやったというのに。この親不孝者がっ!」


 髪を引っ張られ、お腹を指示棒で思いっきり殴られ、顔の横に花瓶が投げられ、割れた花瓶の破片が飛んで、頬に擦り傷が出来る。こんなことが一時間続いた。満足したのか心なしかスッキリした顔で部屋から出ていった。


 俺の包帯が所々解け、新たにできた傷から赤い血が滲む。




 いつも通り怒りに任せて暴力をふるう母親に耐え、身体がぼろぼろで傷が増えた。しかも、今回は運が悪く、顔に破片があたってしまった。どうしたって、隠せそうにない。身体中が痛いが母親の暴挙に慣れてるせいか何とも思わない。


 部屋の片付けをしていると静かにマリアが入ってくる。


 「シュリヒト様、申し訳ございません。…こんなに傷が……私が部屋に乗り込むべきでした…すみません。こんなことならすぐ王都に逃げるべきでした。

 シュリヒト様、痛いでしょう?今すぐ手当てするので我慢してくださいね…。気分が悪くなったらすぐ言ってください。…こんなときに部屋を片付けようとしてたなんて…何してるんですか?!駄目です。素直に休んで下さい。」

 「分かったけど…。せめていつものところで手当てして?ここじゃ、いつ母親が戻ってくるか分からないから。…お願い!」

 「…でも、怪我が酷くて出血してる箇所もあるんですよ?せめて軽く治療してから…。」

 「やだ…。早くシルフィーのところ行かなきゃ、シルフィーが心配するよ?昼ちょっと過ぎてるし…。あ、後マリア!僕の服とかお金になるものとか…もうマリアの言う通り今日から王都に逃げることにするから必要最低限のもの持っていくよ!ほら早く!!」

 「ちょっとシュリヒト様!…逃げることにしてくれて安心しましたが、急です!まぁー事前にシュリヒト様の部屋に荷物まとめてたからいいんですけど…。急いでるのは分かりましたが、窓から勢いよく飛び出すのはやめてください!!身体怪我してるんですから…というか、血が垂れてきてます。やっぱりちょっとでも治療しましょ?……あぁ、もう聞いてない。治療箱と、念の為、金品くすねといて…これでいいや。何とかできる…はず!」

 

 


 「シルフィー!遅くなってごめん。待った?

 あと聞いて?僕今日から王都に逃げることにした!だから、ここで十分に休んだ後、急いで王都に行くからね!何か準備とかやることとかあったら今のうちにしておいてよ?」

 「主…怪我酷くなっているどころか増えているが…。何で手当てしないできたのだ?マリア…主を任せたはずだがどういうことだ?」

 「シルフィー様、申し訳ありません。守ると言いながら何も出来なくて…。私とシュリヒト様が一緒にいるのを目撃されてしまいまして、私が追い出されたんです。その後、お二人だけだったのですが、お叱りくらいだろうと甘く見ていました。本当にすみません。私のことはシルフィー様のお好きにしてもらって構いません。」

 「シルフィー!マリアは僕が暴力をふるわれた傷を実際に見たのは初めてなんだ。だから見た瞬間卒倒しそうな程青い顔をして震えていたんだよ。そんな中、一瞬で震えも押さえ付けて僕を安心させるように優しく身体を抱きしめてくれたんだ。だからやめてあげて、流石に実際に暴力をふるうとは思ってなかったんだよ。許してあげて。

 それに、マリアが乗り込んできたとしても、余計状況が悪化するだけだよ。マリアを殺そうとするかもしれないし、僕はそれを庇ってでも助けただろうからね。…分かった?」

 「主…、…分かった、主がそういうなら…。我は持ち物など何もないから大丈夫だ。」

 

  


 元々していた包帯は、全てぼろぼろだったり、血が滲んでいたりだったので、全部変えることにした。マリアはその怪我の酷さに声も出さずに泣きながら黙々と包帯を取っていった。

 

 僕はというと、シルフィーが物騒なことを言っているのをなだめながら、草の上でシルフィーの横で座っている。ここにまた横になれるのはこれで最後だと思うと何だか寂しくなる。


 何故僕が今日ここを出るかというと、僕とマリアが一緒にいるのを見てしまったから、これから僕の見ていないところで、マリアが母親から酷い目にあってしまうかもしれないと思ったから。

 

 それと、最近皇子や姫達が僕に異常に絡んでくるから、王様に目をつけられて、皇子達を誑かしたとか何とか言われて、最悪母親共々処刑されたりしたら、笑えないからである。


 折角人生設計までしてあるのに、この二度目の人生を楽しめないのは非常に勿体ない。だから、僕なりに生き残るための最善の選択をするつもりだ。




 「シュリヒト様、貴方に一つお聞きしたいことがございます。…貴方は何故自分の身を大切にしないのですか?まるで、何かを想う強い気持ちが欠けている、といいますか。」

 「…その通りだよ。僕は基本そんな感じで今まで過ごしてきたよ。その方が…楽だったからね。

 でもね、これだけは覚えておいてほしいんだけど…僕は自分が仲間だと思った人は全力を尽くして守るし、僕の側を勝手に離れるのは許さないって決めてる。…要は、自分が本当に大切だと思っているものは僕から逃がす気はないってことだよ。…分かった?シルフィー、マリア。」

 「あ、主…我とても嬉しく思うぞ。我こそ主の身の危険は全力で守るぞ。」

 「あ、…ありがどうございまず…ぐすっ…シュリヒト様。今後もお使えいたします。このマリア、きっと貴方の役に立ってみせます。」


 

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