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最強国家第5王子のグータラ生活計画!!  作者: 麻山おもと
第1章 グレーステ王国
5/11

5,兄弟で昼食!




 


「主、今日は目覚めてる!!よく眠れたのか?…主、この女は誰だ?」


 「あー…紹介するねっ!この人はマリアっ!

 うちの母親がマリアを罰して、ここ四年間冷宮に出入り禁止だった、冷宮の元メイド長!

 若くして、メイド長になった有能な人で昨日から戻ってきてて、一番に僕を心配して手当てしてくれたー。

 ほら見てー、包帯だらけでミイラみたい。…ふふっ。」


 「それはシュリヒト様の怪我が酷いからで…。」


 「主、自分の体を大切にしてくれっていつも言ってるのに…。

 今日は傷増えてない?良かった…。

 マリア…殿、どうか主を見守ってやってほしい。

 主、自分で回復出来るのにわざとしないんだ。

 治すのは魔力の無駄だとか、どうせ自然に治るんだから、とか我がいくら言っても聞かない。

 だから、今日のように何かしら手当てとか気を使ってくれると助かる。

 我が出向いたら母親をどうにか出来るのに主が冷宮に精霊でも入れない魔物避けを展開してるし、説得しようとしても平気だから来るなと言うんだ、我心配で心配で。」


 「シルフィー余計なこと言わないでよー。僕はここに来てシルフィーを撫で撫でしながらダラダラするので十分なのっ!」


 「……。シルフィー様、冷宮でのお世話も私がぬかりなくやるつもりですので、お任せください。手当ても毎日やらせてもらいますっ!

 …シュリヒト様、ご自分の体を一番に考えて下さいね。

 いざとなったら私と共に王都に逃げましょう!勿論シルフィー様も一緒に。」


 「王都!僕行ってみたいと思ってたんだよな〜。

 …あっそうだ!マリアの椅子も作ってあげるっ!」


 「シュリヒト様!?本当に魔法をこの歳で身につけておられるのですね!でも、あまり人がいるところで使っては駄目ですよ?」


 「うん!分かってるよ!

 シルフィー、僕今日はくっついて横になりたいな~駄目?」


 「しょうがないな、主は特別ですぞ。」


 「やったー!!…うわぁフサフサ!気持ちいいー。」









 「主、昨日の奴らがまた来ているっ!…って寝てるし。」


 「シルフィー様、昨日の奴らとは一体誰ですか?」


 「確かアルトレア皇子とリリアナ姫とかいうやつと、キルシュ騎士団長って呼ばれてたやつらだ。」


 「まあ、それは…。」



 主は本当にマイペースで危機感がないから、我がしっかり守らねばっ!マリアというメイドも今のところ信用して良さそうだが…今すぐにというのも時期尚早か。

 だが…、主のことを一番に心配してくれているのと、母親に敵対されているところをみると、主の敵にはならなさそう…か?

 










 「おにんぎょさん見っけ。

 ほーたいしてる、いたそう。。

 …寝てるー。きれー。」


 「寝ていたか。

 起こさずに待っていよう。りりー、静かに、起こすなよ?」

 

 「これがアルとりりーの言っていた少年か。

 包帯だらけじゃないか…。

 …あなたは…。マリア!君の復帰先はここだったか、なるほど。」


 「王子殿下、姫殿下にご挨拶申し上げます。

 キルシュ騎士団長殿もお変わりなく。

 まあ、話は聞きましたがオルステッド皇子もですか。

 皆様、こちらにはどのような用で?」


 「マリア殿!実は、アルトレア皇子とリリアナ姫がシュリヒト皇子と会って、また来たいと仰ったものですから。

 それと、リリアナ姫がお菓子を分けてあげたいということなので、食べるものを沢山持ってきたのです。

 ついでに昼食もこちらで食べようかと。

 ご一緒してよろしいでしょうか?」


 「私は是非ご一緒してもらいたいのですが、シュリヒト皇子がどうされるか分からないもので、、」


 「…話は分かった、我が起こそう。

 …一つ人間どもに忠告しといてやるが、我が主を危険に晒そうなど少しでも考えてみろ、跡形もなく切り刻んで、一生涯主の視界に映らないようにしてやるからな。」


 「僕たちはそんなことしないから安心しろ。

 …寧ろその逆だ。」











 顔に生暖かいものを感じて目を開ける。寝すぎて逆にすっきりしてる。



 「…ん。シルフィーおはよー。

 今日も気持ちいいね!ぎゅー、………ん?」


 「主、寝ぼけるのもいい加減にしてくれ〜。

 …昨日の奴らが来て、一緒にお昼食べたいらしい。

 食べるものも持ってきてくれた…。

 だから、何か食べるのだ主!何日食べてない?

 お腹すかないからとか慣れてるからっていうのはやめて三食食べてくれっ!

 今回ばかりは食べないは無しだからな、主!」


 「また来たの?僕二度と来ないでって昨日言ったのに…。っていうか何か増えてるし…。

 というかシルフィー、余計なこと言わないで。別に全く食べてないわけじゃないもんっ。」



 マリアは、僕がここ数日食べてないことに気付き、シルフィーに便乗する。



 「シュリヒト様、私はこの方達と一緒に昼食を食べてほしいです!どうかお願いします!

 ちなみにシルフィー様が知る限り、シュリヒト様は何日食べてないのですか?」


 「二人ともうるさい!…分かったよ、今回だけだから!

 べ…別に二食抜いただけだし。」


 「マリア殿、主の言うことは嘘だ。

 我が知る限り今日まで二日何も食べてない。」


 「嘘言わないで!食べただろ、二食。」


 「主、それは昨日の朝昼の木の実二つをいっているなら、それは二食とは言わないぞ。」


 「シュリヒト様、次から私が全ての世話をすることに決めました!三食しっかり食べるまで私は下がりませんから!」



 二人のせいで周りの皇子達から青い顔で見られている。

 きっとそれだけ可哀想とか何てことだとか哀れんでいるにちがいない…。









****





 最近、メイドから届けられる食事に媚薬が入っていることが多く、食べるのが面倒くさくなった。


 媚薬が入ってなくても、メイドが持ってきたということに気持ち悪くなり、あまり食べていない。何で媚薬を入れてくるのか分からないため、恥ずかしくてシルフィーにさえ話していないのだ。








            ****





 俺はどんなことがあっても二人を全力で守るつもりで森に入った。二人をあそこまで言わせる男の子がどんな子なのか確かめるつもりで、ずっと警戒していた。


 しかし、実際二人が話していた弟を見ると、寝ているのに天使のような、妹の言うお人形のような可愛らしい顔をして寝ていた。光に当たってキラキラと輝いている透き通ったような白髪は更に天使を思わせるよう。


 でも、腕や足に沢山の包帯を巻いていて、服の下にも包帯が覗いている。その何個かは血が包帯に滲んで、怪我の悲惨さがうかがえる。


 アルが言っていた怪我は思っていたよりずっと酷いもので、男の子の肌が白いのもあって、滲んだ血が更に目立つ。


 そして、手足が細すぎる。栄養が行き渡ってなく、不足しているのがすぐ分かった。


 


 そんなこんなで、男の子が喋る狼に顔を舐められ、目を開けた。


 空をそのまま移したような澄んだ水色と青色のグラデーションの瞳がぱっちりと開き、その大きな目を眠そうにとろんとさせ、狼にぎゅっと抱き着く。警戒していた俺でさえ、守ってあげたいと思った程…可愛かった…。


 周りを見ると、後ろに控える兵達含め、リリーとアル、キルシュ騎士団長さえその少年の動作を一挙手一投足見逃さまいとするように見守っていた。



 大きな狼はシュリヒトを心から心配し、彼を心から大切に思ってくれていた。シュリヒトに従僕しているのがすぐに分かるほどに…。



狼が少年にご飯を食べさせようと頑張ってくれていた。


やはり食べてないとわかると少年と話したこともないのに、一緒に昼食をたべることにして良かったと思った。


 狼に言い訳をして拗ねたように頬を膨らませる様子はとても可愛らしく、狼とマリアと仲良さそうに話す姿に羨ましいとも思った。もっと彼と親しくなって、弟として甘えてほしいと強く思った。







 昼食は地面に大きなシートを敷いて、そこに座って皆で食べた。



 「主、我に食べさせるばかりで主全く食べてないが?マリア殿、主に食べるよう言ってくれ。」


 「もーいいのっ!シルフィー、マリアにチクらないでよ。」


 「…あの…シュリと呼んでもいいかな?俺はアルトレア。アルって呼んでほしい。」


 「おにんぎょさん!わたちリリアナってゆーの。りりーって呼んで!」


 「俺はこの二人の兄、オルステッドだ。オルと呼んでもらって構わない。俺もシュリと呼んで構わないだろうか?」


 「私、御三方とその家族の護衛を任されております第三騎士団の団長キルシュと申します。どうぞ名前を覚えてもらえると光栄です。」

 


 僕は困ったようにマリアを見ると、マリアは呼んであげて下さいと言って、頭を撫でてくれた。



 「…名前、覚えておくっ。勝手に呼んでもらって構わない。」


 「…ありがとう、シュリ。」


 

 何か僕の言葉にいちいち反応されて、変な感じだ…。


 皆とても嬉しそうにしてるんだもん。意味わかんない…。




 

 「シュリ、このスイーツ美味しかったよ。…はいっ!」


 「…?!ぱくっ…。……美味しい。」

 



 今、シルフィーとシュリヒト以外のものが全員悶えていた。



 何が起きたかというと、アルトレア皇子が食べて美味しかったマカロンなるものを箸でつかみ、シュリヒトに見せ、弟のお皿に乗せてあげるつもりだったのだが…。


 見せた途端、実は甘いものが大好きだったシュリヒトが我慢出来ずにパクっと食べてしまった。アルトレア皇子の手から。



 要はあーんを自然にして、かつ、シュリヒトの口を開ける可愛い顔が自ら近づいて来たものだから、皆が言葉に出来ない気持ちに溢れたということだ。




 「お兄たん、これおいちいよ。」


 「シュリ、これ厨房の料理人の新作だよ。ほら、あーん。」


 「シュリ、もう一回これ食べる?」


 「…そんなに食べない。…ぱくっもぐもぐ。ぱくっもぐもぐ。ぱくっもぐもぐ。」


 微笑ましい空気に包まれる。俺達の弟可愛い。食べないといいながら、全員の手からすかさずさらっていく。その後どれも幸せそうな顔をして食べていた。




 俺達三人兄弟は、シュリヒトにあーんが出来て満足していた。




 「シュリヒト様、お肉も食べないとっ!ほらっ小さく切り分けましたよ。これ食べないと、私が毎日食事食べたか確認しますよ?」


 「…マリア、そんなにいらない!食べるから!早まらないでっ!…んっもくもくもく。」







 三兄弟達は、あれ以来シュリヒトに食べさせることは出来なかったが、シュリヒトの状態を知って、救急箱や医師も連れてこようと決心した。そして、毎日会いに来ようと決意したのだった。





 昼食を食べ終わったあと、マリアとオルステッドが包帯に血が滲んでいることを指摘し、それを聞いて、シュリヒトはアルトレア達を森から追い出すかのように、マリアとシルフィーを連れ、令宮に帰った。


撫でたい

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