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最強国家第5王子のグータラ生活計画!!  作者: 麻山おもと
第1章 グレーステ王国
3/11

3,精霊王シルフィード




 僕は4歳になった。相変わらず僕の誕生日を祝う人はいない。それどころか周りの悪意は悪化する一方。


 母親は僕に暴力をふるうようになった。


 「シュリヒト、あなたのせいで私の地位が危うくなった。折角腹を痛めてまで生んだのに…。親に恩を返さないどころか逆に攻撃してきてるみたいよ。

 あなたが存在するだけで私が馬鹿にされる。折角、王家を手にできると思ったのに…。」

 「ごめんなさい、お母様。」

 「誰がお母様よ。そうやって呼ばないで。私はあなたの母親になんかなりたくないわ。」




 前は暴言を吐いて物に当たるだけだったのが、一回僕を叩いてから味を占めたのか、今では日常的に暴力をふるうようになった。


 その日から、僕への暴力に輪をかけ始めるように、本格的にメイドからもいじめられる日々。前までは、ご飯だけは必ず届けられていたが、母が過度な暴力をふるうのを見て、僕は母にとっていてもいなくてもいい存在だと認識したのだろう。


 母はそれを見て何も言わず静かに喜ぶ。僕が苦しむのを見て、又は僕が泣きついてお願いするのを想像して…。

 

 とても辛かった。一応今世の母なる人だったから…。




 途中、魔法で何もかも吹き飛ばそうと思った。でも、母がこうなったのは王家を手にできなかったから、つまり、僕が王家の証を持って生まれなかったからということもあり、申し訳なさもあって大人しく受け入れた。




 酷いときは、一週間食事を運んでもらえなかったこともあったが、魔法を使って厨房に忍び込み、こっそり食べ物を持って帰ったり、庭園の木の実を魔法をかけてステーキや親子丼などの味にして食べていた。


 ひもじいことこの上なかったが、こういう生活は前世でも似たようなものだったので、2日3日食べなくても大丈夫だった。




 何故王はこれを理由に母を罰しないのかというと、王は僕達の住む場所を王宮の裏にある冷宮にして、わざわざ出向かないと会えない場所にしている。悪事を働かないよう、閉じ込めたということだ。つまり、王宮にこちらから出向くには許可をとらないといけなく、周りは魔物も出る森に囲まれているため、ほとんど家の外を出ることはできない。それは、王が母、その両親を嫌っている証でもあった。


 


 僕はこの事実に絶望し、冷宮を抜け出し、王都に逃げるしか平穏な道がないことを悟った。


 といっても、別にそこまで苦には感じなかった。前世を覚えている僕だからこそだと思う。


 だからか、母親の暴力で怪我をした傷を自分の回復魔法を試すのに使ったり…。魔法を色々試せる楽しさで、頭がいっぱいだった。


 それと、前世に母親が心が優しすぎて僕にあたりたくても暴力を一回もふらなかったということもあり、その母親の分だと自分で納得して暴力の痛みをわざと感じながら受けた。自分の罰だと思ったから。



 

 一人で部屋を抜け出し、いつものように庭園を歩く。流石に生まれてばかりで部屋に引きこもってばかりでは体力も平均につかない。だから、いつも散歩として外を歩いている。もう少し体力がつけば、王都を行き来するつもりだ。

 



 冷宮は辺りが広い森に囲まれているのか、見渡しても王宮は見えない。そのため、森を少し歩いたところに木のベンチを作り、母親に付き合って疲れたときや痛みに耐えられないとき、心を癒やすときに転移して横になることもある。毎日来ている場所だ。


 そこは日陰になっていて夏にはとても涼しい、いい場所だった。




 小さな体を見下ろす。腕や足は勿論、見えない服の上からも叩かれ、物をぶつけられたてできた傷跡がはっきりと分かる。痛々しいが、自分が今世に生きている証として、わざと残していたりもする。それと、毎日治すのが面倒くさいというのもあった。




 実はこの森には、魔物?らしきものが出る。森に入りだしたのは最近なので、気が付くのは遅くなった。


 何で今まで冷宮を襲わなかったのか不思議だったが、縄張り範囲というのもあるのだろう。冷宮に入ってこられないように一応冷宮に大型の対魔物シールドを展開した。勿論ベンチ周辺にも!


 普通に森を散策していると、群れの狼に出くわした。とても強そうで、一回り体の大きな狼を先頭に動いていた。大きな狼は俺をじっと観察していた。すると、一匹の狼が急に横から襲いかかってきた。それに気づいた大きな狼が吠えたのを見て、とっさに魔法でいなし、気絶させた。どうやら、襲いかかってきた狼は、大きい狼の指示で襲ってきたわけではないらしい。


 ボスらしき狼が怒って襲いかかってくると思いきや僕にゆっくりと近付き、頭をこすらせてきた。可愛い。犬みたいだ。違うけど。


 「小さな子供よ。我と契約せよ。」


 「わっ!?喋った?魔物って喋るんだ。へー新しく知ったぞ覚えておこう。」


 「違う!我を魔物何かという下等生物と一緒にするでない。

 我は神位精霊の一人。人間どもの言う伝説の存在の一人、風の精霊王シルフィードなり。幸運だったな、子供よ。たまたまこの森に迷い込み、我と遭遇して我に認められるとは、ありがたいと思え。」


 「うん、何が?襲わないでくれるのは無駄に魔力を使わなくて済んで助かるけど、、あ、安心してね。仲間を殺したりなんか決してしてないから!ほら、運ぶの大変だろうけど、連れて帰っていいよ。」


 「違うわ!我と契約せよと言っておるんだ。それと仲間ではない部下だ。」


 「???ごめん。あなたの言っている契約って何?僕、君の部下になるつもりないから遠慮しておくよ。…部下ってことは精霊なんだ〜これは擬態している姿なのかな?」


 「話をいちいち反らすな!我が契約獣、契約精霊になってやるって言ってるっ!部下ではないっ!契約したら、我に命令して我の力を使うことができる。何でそんなことも知らないんだ。この世界の子供は誰でも知ってる情報だ!」


 「えーそれって絶対魔力使うやつじゃん。それに、僕は別に自分で自分の身を守れるから間に合ってるよ。精霊王か何か知らないけど、僕は信頼できる人としか仲間にならないって決めてるから…、ごめんね。じゃっ、僕そろそろ戻らないとだから、じゃーねー。」


 「おいっ。話を聞けっ、戻ってこい!…何だあの子供は。体内に膨大な魔力を秘めて、我々に匹敵する。いや、下手したらそれ以上なのに…。これは絶対我と契約させなければ。我は強い者が好きだからな…。たまたまこの森にきたがとんでもない幸運だったな。…わおーん。」





 その日から、森のベンチに行くとあの大きな狼がおすわりして、何度も僕と契約を結びたいと話しかけてきた。


 今では、あの偉そうな口調じゃなくなって、僕のことをすでに主と呼び出している始末。



 昼に改めて見ると、この狼は灰色のふさふさの毛並みをしていて、とてもかっこよかった。…めっちゃ触りたくなる毛皮ではあった…。悔しいけど。


 それを悟ったのか、可愛いアピールをして、契約をすれば撫で放題です。と売り出してきた。何とも汚い手口…。勿論負けた。

 

 「分かった分かった。契約するから。それでいい?…勿論撫でさせてくれる…よね?」


 「やったぞ!やっと主と契約できるっ!あ、主…、先に契約が先ですからね?」


 「うー…分かったって。えっと…どうすればいいの?」


 「本来、跪いたところに主が名前を付けながら撫でることで完了なんですけど、我は精霊王で名前が付いてるので、その名前を主が呼びやすい呼び方に変えてもらって、、そしたら精霊王シルフィード兼主の○○になります!主!」


 「なるほど…。じゃーいくよっ!…おすわり可愛い………うぉっほん。…シルフィー。」


 「流石主!完璧完了した!これから我は主と共に暮らすぞ!」


 「えっ?それはやめた方が…。」


 「…主。われのことそんなに嫌いか?っぐす…。」


 精霊王が泣きそうな顔で見てくるっ。シルフィー、一応精霊王なのに、、でも可愛いからいいや。


 「そういえば、最近ここら辺魔物見なくなったんだけど、何で?少し前まではいたのに…。」


 「それは、我が存在感を出して、主に近付かせないようにしているからな。」


 「…それは困るな。今すぐ存在感わざと出さないようにしてほしいなー。魔物を倒す練習したいし、、。」


 「了解したっ!我は主の考えに従うぞっ!」


 「うんっ!ありがとう!で、話は戻るんだけど、………よしっ。これで理解できた?だから、ひとまずこの森に住んでてほしいんだよね。」


 シルフィーに今の現状を頭を通して共有する。


 シルフィーは主の母親を消し炭にしようかと冗談?を言ってきたので、なだめておいた。

 



 こうして僕は、シルフィーと契約し、少し毎日が楽しくなったのだ。




 





 

 

 魔法羨ましい

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