2,無詠唱魔法
今回は設定を書いた回です。
ごちゃごちゃして分かりにくいと思いますが、そこはごめんなさいm(_ _;)m
自分の状況を知ってまず考えたことは、最低限自分の身を守る手段が必要ということ。
それは、自分が王家の特徴を持ってなく蔑まれているため、どんな害があるか分からないからと、もう一つ重大な理由がある。
母親の家系が、代々王家を支える役割をしてきた結構な有力貴族であるにも関わらず、今代の、つまり母親とその両親がその地位を利用して、好き放題やっているらしい。
周りの評判はすこぶる悪く、色んな悪行に手を染めているらしいが誰も逆らえないらしい。王様も、悪行の決定的な証拠がつかめないため、罰したくても罰せないのだとか。
その一つが母と国王の結婚であり、母の父親が無理に押し通したものらしい。王家の子を産んで王にし、この国を自分の手にするつもりだったらしい。
だから、僕は親への恨みで危険に晒される可能性が高く、国王が僕ごと親を始末する可能性もあるのだ。今のままでも十分害を受けているのに…。
前世では精神的に疲れ果てていたから、今世では精神的にも肉体的にも安らかにダラダラできる生活をしたいという人生設計をたてた。
そのために、今いる場所とは別に真の自分の居場所、仲間を作るべきだ。
要は平民になりたいということで、王宮を出て予め誰かしら繋がりを作れればそれでいい。王家から逃げたとき、その繋がりを利用して自分の生活基盤を作って、少しずつ自分の自由な生活を構築していけばいい。
そして、最初に話した自分の身を守る手段だが、候補として強力な護衛を見つける、自分が強くなるの二択。迷ったが平民となってのスローライフは長く生きて体験したいため、自分自身が強くなるほかないと思った。
この世界では剣と魔法があり、それらが代表的なもの。要は肉体を強くするかしないか。折角転生したというのもあって、魔法を使えるようになることにした。
ファンタジーな世界だから前世の異世界の本を思い出し、それを試してみることにした。似たような世界だからこそ何か通じるものもあるだろうと思って。
思い出しながら試しに体を流れているはずの魔力を感じてみた。
目を閉じて瞑想状態になり、丹田…おへその下辺りに意識を向ける。すると、何かが体の中を渦巻いている気がした。前世では感じなかったものの違和感に、これが自分の魔力だと理解し、自分に魔力があったことに安心する。
取り敢えず魔力を増やすために、毎日魔力を使い切るのを目標にした。魔力で物を動かしたり、魔法を出したり…。
その日から自分のやることが決まったからか、一日一日が早く感じた。
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あの日から二年経ち、僕は歩けるようになった。相変わらず僕は周りのメイド達にさえ蔑まれ、親には暴言を吐かれているが、魔力で自分の耳に蓋をして聴こえないようにすることが出来るようになり、少し楽になった。
でも偶にはそれを聴いて、この国の言葉、文字の勉強をしている。何故かこの国の言葉は生まれたときから理解出来たが文字は分からなかったため、メイドの僕への馬鹿にしたような言葉を頭の中で文字にしてみたりした。
魔法も容量が増えてきて、使い方も分かってきた。魔法はイメージと魔法名を浮かべるのが大事で、自分がどの規模でどの出力で出したいのか、手に練った魔力にイメージしたものを付与する。でもこれは正確性を高めるもので、周りを魔法で巻き込みたくないときに使う。普段はこれは別にしなくていいと分かった。
そして、風でよく切れる魔法を放ちたいときは風刃など、合った名前をつけることで、完成した証拠として魔法陣が浮かび上がり、発動する。
試しにこの国の言葉と日本の言葉で風刃を出したところ、圧倒的に日本語の方が4倍くらい発動時間が早く、威力も高かった。日本語の魔法には驚きすぎて尻もちをついたくらいだ。
他にも舌足らずながら頑張って無詠唱と詠唱有りでやってみると、無詠唱の方が制御は難しいが詠唱が必要ない分、発動が圧倒的に早かった。実践では発動の際詠唱などする時間がないことから無詠唱を練習し続けた。
慣れてみると制御も楽で、詠唱名は頭に刻み込んだものが手に伝わるのか刻み込んだとほぼ同時に発動する。
何とも便利な攻撃手段を二年で完璧にものすることができたのだ。
魔力の保管方法も、前世で習った体の作りを参考に自分なりに体内に作り出してみた。
前までは血液とともに体内の一番外側を血管ではない、見えない範囲内で循環していた。
試しに庭園にある薔薇の棘を触り、手から血を流し、血に魔力を押し当ててみた。すると、少量だからか何の反応もなく、血液と同化することもなかった。というかお互いが触れると透けている気がした。
今度は大量の魔力を血液に押し付けると、何ともなかった…のだが、それが体外に触れた途端目眩がしたと思ったら数時間気絶していた。危ない。危ない。
そこで、自分の魔力を心臓、胃、肝臓、肺などの臓器の場所を考えながら、そこに入るように転移させてみた。
自分の体を鑑定してみてみると、それぞれ臓器を真似したような魔力の器になっていて、臓器と重なって透けている二つ目の臓器が出来ているような感じだった。
臓器のかたちは思った以上に容量が大きいのか、ニ年間増やしてきて結構増えた魔力量でも、全然埋まらず空きが多かった。約ニ割ほどしか埋まっていない。とてもいい魔力の保管場所を作れた。
何か体の不調が起きたら怖いので前の魔力の循環場所にも魔力を変わらず循環させた。
これらのおかげで、魔力量を更に効率よく増やすことが出来た。肺部分の魔力を使い果たしただけでも、その部分の魔力量が増える。これによって、僕は永久的に魔力量を体に維持し続けながら、常時体を覆うシールドを展開することに成功した。
ただ、これは暗殺や急な襲撃から体を守るもので、それ以外は効かない。常に周りを警戒するに越したことはないのだ。
こうして、僕は自分の身を守る術を手に入れたのだ。
白髪碧眼は勿論、金髪と銀髪はどの瞳も合うと信じてます。。