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聖女の力を隠して来たのに、妹に利用されました。このまま利用されたくないので、家を出て楽しく暮らします。  作者: 藍川みいな


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31/37

31、結婚!?



無事に結界を張り終えて、我が家に帰って来た。

玄関を開けて中に入ると……


「遅かったな」


「え……え!? どうして!?」


ジュードが出迎えてくれた。

まるでずっと一緒に暮らして来たかのような彼の態度に、私はホッとした。


「宿屋のおばちゃんが教えてくれた。ちょっと留守の間に、まさか家を買ってるとは思わなかった」


ずっと会いたかったジュードが、いきなり現れてびっくりしたけど凄く嬉しい。

ロックダムが嫌いだったとはいえ、あの国が魔物の国になってしまったことは少しだけ悲しい。アリーとの思い出の場所も、なくなってしまった。


「ジュードのおかげで買えたから、ジュードの家でもあるよ」


ドラゴンはジュードが倒したから、報酬はジュードのおかげで貰えた。

私の言葉に、ジュードは笑顔を浮かべた。


「俺の家でもあるのか……それなら、良かった。

これからプロポーズしようと思ってるから、受けてくれたらそのまま俺も住めるな」


今……なんて?

プ、プ、プ、プ……


「「プロポーズ!?」」


隠れて話を聞いていたレニーとティアの声がハモった。


「お兄ちゃんとお姉ちゃんは、結婚するの?」


レニーは目を輝かせながら、私達を交互に見てくる。


「我は認めません!」


ティアは少し不貞腐れているようだ。


この状況でプロポーズは、無理なんじゃ……


「うるさいぞ、お前ら! 俺はサンドラが好きだ! 大好きだ!! 一生守ることを誓う! 文句あるか!?」


2人がいるのに、大声でそんなことを言われて、恥ずかしくて顔が真っ赤になる。

ジュードはお構いなしに、私の手を取った。


「返事は?」


目を真っ直ぐ見つめながらそう聞かれて、こくんと頷いていた。


「よっしゃーー!!!」


聞いたことがないくらい大きな声で喜ぶジュード。変わったプロポーズだったけど、ジュードらしい。


「でも、ジュードは王子様だよね? 私なんかでいいの?」


私はもう、令嬢じゃない。

暗い顔になる私の手をジュードは握りしめ、その手を引っ張った。そして、気付いたらジュードの胸の中にいた。


「父上には、許可をもらった。俺は、王子をやめてきた」


「王子をやめたって……」


「俺はただの冒険者ジュードになった。勘違いするなよ? これは俺がずっと望んでいたことだ。 そしてこれからは、サンドラの夫だ」


ジュードは、ずっと冒険者としてこの国の人達を守って来た。王子の身分がなくなっても、それは変わらない。逆に言えば、王子のままでも良かった。王子の身分を捨てたのは、きっと私の為。

私に気をつかわせない為の、ジュードの優しさ。だから、私は何も言わない。


ジュードの胸に顔をうずめる。


「……あちちちだね」

「我は認めません!」


2人がいることを忘れていた。

ものすごく恥ずかしくなり、勢いよくジュードから離れた。

その様子を見て、声を出して笑っているジュードを私は睨みつけた。


「ジュードが、これから毎日ご飯を作ってくれるわ!」


この家で、唯一まともに料理を作れる人がいた!


「本当!? やったあ!」

「我は……許します!」


2人の喜んでいる顔を見ていると、なんだか複雑。


「……まだ料理が苦手だったか。仕方ないな」


ジュードは呆れた顔をしていたけど、頼られるのが嬉しそうにも見えた。



結婚式は、町の広場で行うことになった。

町の人達が準備をしてくれて、フーリン伯爵やラルフ、冒険者の人達にセリアさん、依頼で救った人達まで沢山の人達がお祝いに駆け付けてくれた。


「「「おめでとう!!」」」


こんなに沢山の人達がお祝いしてくれて、本当に幸せで……幸せ過ぎて、まるで私の人生じゃないように思えた。


「みんな、サンドラが大好きなんだ。俺もな」


ジュードには、私の考えていることが分かるみたい。私の旦那様は、本当に素敵な人ね。


「とっても綺麗! さすが、あたしのお姉ちゃん!」

「サンドラ様……うぅ……我は、サンドラ様の幸せなお姿を見ることが出来て感激です!」


レニーもティアも、こんな私と一緒に居てくれてありがとう。これからも、ずっと一緒だよ。



結婚式の翌日、 私達はお店をオープンした。




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