表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女の力を隠して来たのに、妹に利用されました。このまま利用されたくないので、家を出て楽しく暮らします。  作者: 藍川みいな


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/37

25、ドラゴン退治



金貨100枚なんて、やるしかない! 100枚あれば、家を買うことが出来る!

依頼主は、マリアードという町に住む、ガードナー侯爵。町の場所が分からないから、セリアさんに聞いてみよう。


「セリアさん、こんにちは」


「サンドラさん! 昨日は、本当にありがとうございました!」


「あの、この依頼受けたいんですけど、マリアードという町はどこにあるのか教えていただけますか?」


依頼書を見たセリアさんは、目をキラキラさせた。


「さすが、サンドラさんです! この依頼は、サンドラさんにしか受けられないと思っていたんですよ!」


セリアさんによると、この依頼は数日前から出されていたが、高めの依頼料なのに誰も受けようとはしなかったようだ。

その理由は、マリアードの近くにあるこの洞窟には、ドラゴンが住むと言われているからだとか。

ドラゴンは100年間封印をされていたのだが、その封印がもうすぐ解けてしまうらしい。ドラゴンの封印が解けてしまう事を懸念したガードナー侯爵が、討伐依頼を出したというわけだ。

ドラゴン討伐と書いてしまうと、依頼を受ける冒険者が居なくなると思って、洞窟の魔物の一掃という依頼を出したのね。……洞窟のドラゴンの噂が流れているから、意味はなかったけど。


ドラゴンかあ……なんだかワクワクして来た。


「サンドラ!? まさか、そんな危険な依頼を受けるのか!?」


いつの間にか、セリアさんに見せていた依頼書を、エヴァン様が覗き込んでいた。


「エヴァン様は、連れて行きませんよ」


「何故だ!? 俺達は仲間だろ!?」


絶対に仲間じゃない!


「死にたいんですか? エヴァン様は、ドラゴンに勝てますか? 一緒に行くなら、ドラゴンと戦わせますよ?」


一瞬で粉々でしょうね。


「な!? きょ、今日のところは、ギルドに登録しに来ただけだしな。つ、次は一緒に行ってやるから、安心して行ってこい」


次もないですよ。


「ギルドへの加入をご希望ですか? ギルドに加入するには、レベルの審査を受けて頂く必要があります。そのランクに応じて、受けられる依頼が決まります。よろしいでしょうか?」


セリアさんの説明を、真剣に聞いているエヴァン様。契約書を受け取り、右上の印に魔力を込めた。


「Fランクですね」


やっぱり、エヴァン様にはほとんど魔力がない。


「………………」


言葉が出ないエヴァン様に、セリアさんは追い打ちをかける。


「気を落とす事はありませんよ! 例え、最下位ランクでも、依頼を沢山こなせばランクは上がりますので、最下位ランクから脱出出来ます! 最下位ランクより上の下位ランク目指して頑張って下さいね!」


セリアさんは、私の時と同じことを言った。

さすがセリアさん! 全くブレない!


落ち込むエヴァン様は放っておいて、セリアさんにマリアードの場所を聞いてギルドから出ると、ダンカンさんと自称Aランク冒険者が待っていた。


「「俺達も、連れて行ってく……」」


言い終わらないうちに、風魔法を纏い、土魔法で身体を強化して、猛スピードでマリアードに向けて出発した。


マリアードまでは、全力で飛ばしても3時間はかかりそう。この依頼が終わったら、ナージルダルに家を買って、お店を開こう。

そんなことを考えながら移動していたら、3時間があっという間だった。


「ここね……」


洞窟の中から、異様な空気を感じる。

封印が解けそうではなく、この感じは既に解けている。洞窟の中に入ると、真っ暗で何も見えない。光魔法で辺りを照らし、ゆっくりと進んで行く。奥に進むにつれて、洞窟の中が広くなって来た。


この匂いは何だろう?

洞窟のに入ったときから、すごくいい匂いがしてる。 洞窟の中央に来たのか、開けた場所に出た。


「……何で!!?」


目の前に、血だらけのティアとジュードが倒れている。


助けなきゃ! きっとまだ救える!


ティアとジュードに駆け寄ろうとすると、泣き声が聞こえて来た。この声は……


「レニー!!?」


泣き声が聞こえた方を振り返ると、レニーが泣きながらこちらを見ていた。


「レニー! ここは危険なの! こっちにおいで!」


そう言って両手を広げた瞬間、私の身体が何かに吹き飛ばされて、洞窟の壁に激しく叩きつけられた!!


「……っ!!!」


痛みで身体が動かない。回復魔法で治そうにも、頭を強く打ったからか集中出来ない……


朦朧としながらレニーが居た場所を見ると、そこに居たのはレニーではなく巨大なブラックドラゴンだった。

ティアもジュードも消えている。全て、幻術だったようだ。


ブラックドラゴンが、少しずつ近付いてくる。だけど身体は動かない。


私、死ぬの?


ブラックドラゴンは右手の鋭い爪を、私に向かって振り下ろした!


ごめんね、ティア……レニー……ジュード……


死を覚悟して、ギュッと目をつぶった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ