卒業
「エノテラ。君は、”エンシェントドラゴン”だから僕みたいに”人化の加護”が使えるはずだよ」
泣き止んで少し落ち着いた、エノテラに言う。
「ほら」
指を鳴らすとエノテラが”人化”した。
「慣れたら自分でできるようになるから」
エノテラは跪いて、両手を合わせてマールムートを拝みだした。
「さて。千年の眠りから解放してくれてありがとう」
「何かお礼をしなければならない」
「まずは君からかな」
マガリを見ながら言う。
「その右目は”魔眼”だね」
マガリが頷く。
「じゃあ。”竜眼”にしてあげる。いい?」
「お、お願いします」
かざした手から出た光が、マガリの右目に当たる。
マガリが恐る恐る右目の”魔封じの眼帯”を取る。
「普通に見える!?」
ヤギの瞳孔が黄金色の竜の目になっていた。
「何ができるかは色々試してみてよ」
「次は踊り子さんかな」
シャリーが跪いた。
「古い”魔文字”だね」
肌に描かれた文字を見て
「”魔文字”を無くすことは出来ないけど”魔”の影響を減らしてあげる」
シャリーの額に手をかざした。
複雑な神式文字が、額に描き込まれ消えていった。
「ありがとうございます」
「次は・・・」
「私は大丈夫です。何もしてませんからっ」
「加護も沢山もらってますから」
「・・・確かに。じゃあ僕と契約しよう。困ったときは呼んでね」
人は、竜と契約して”竜騎士”になる。
メアリーの左手の甲に普通の竜印よりも、複雑な模様が刻まれ消える。
「これはどういうことなんでしょう?」
「これから、君は”神竜騎士”を名乗れるよ」
「神竜騎士っ!?」
メアリーは、その場にしゃがみこんだ。
「貴方の知識が欲しい」
アマリリスが足元の魔術陣を指さす。
「最低でもこの魔術陣が詳しく分かるまで協力してほしい」
「いいよ。言えないこともあるけどね」
最後はリントだ。
「じゃあ。僕は、エノテラさんの話が聞きたいかな」
「千年間色々あったのでしょう」
「そのようなことなら喜んで」
エノテラが立ち上がった。
その後、マールムートとエノテラは、魔術学園に編入し魔術の研究に携わることとなる。
◆
残りの学園生活は主に、”魔術式ジェット”の開発で終わった。
あの後、シャリーも”舞踏の聖女”として認定され、”始まりの聖女”も含めて4人の聖女が学園にいたことになる。
後に”奇跡の学年”と呼ばれた。
時間は過ぎて、魔術学園の卒業式を迎えた。
卒業後、それぞれの人生を歩んでいく。
マールムートとエノテラは、開放してくれた人たちの生涯を見守った後、”魔王都ガウラ”の”竜神殿”に戻った。
後に、竜教会の一大聖地になり”魔族”の人たちとの交流に重要な働きをすることとなる。
了。




