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マガリとレイリア、ときどき聖女。  作者: トウフキヌゴシ
第二章、学園編

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オベリスク

 アマリリスは怒っていた。

 日頃、あまり使うことのない”ハナゾノ帝国第一皇女”の立場と権力をフルに使うくらいには。


 最初にしたことは”竜の教会”を説き伏せ、”帝国庁”を巻き込むことだった。

 神話に出てくる都市に”竜の神子と始まりの聖女”がとらわれている、と言うとすぐに協力してくれた。


 国家プロジェクトとして ”竜の神子と始まりの聖女”を開放することが決まる。


 魔術学院を主体として、3カ月という驚異的なスピードで全体の目途をつけた。

 マガリも含めた、魔術学院の学生も総手で手伝わされた。

 ほぼ魔術学院で生活し、この3カ月で3日以上の徹夜をしていないものは誰も居なくなった。

 この時の学生が、魔術に関する研究の最先端を走る人材となるのは先の話である。


 タンデライオン皇女の協力により、ミスリル製のオベリスクが8本用意された。


 ”魔力を消費するために、消費する魔力以上の魔力を必要とする魔術陣”


 という世界に浸食して歪める力のある”魔力”にしかできない、矛盾した魔術陣が開発された。


 ”アマリリス式・階層型魔術陣”の誕生である。


 オベリスクに以上の魔術陣を掛け、都市に配置するためにテンドロディウムに乗せられた。



 魔王都”ガウラ”になるべく均等になるように、オベリスクを置く。

 1週間くらいで、魔力の黒い瘴気は薄れ、晴れた日は青空が見えるようになった。


 ”マールムート”の前に、エノテラと、前回来ていた5人がいる。


「これで、都市は大丈夫だ」

 アマリリスは、エノテラを見る。


「・・・わかりました。マールムート様を開放します」

 複雑な呪文を唱え始める。

 2重の魔術陣の回転が、徐々にゆっくりとなり止まった後、静かに消えていった。


 浮いていたマールムートが地面に足を下ろした。

 静かに目を開ける。


「・・・マールムート様。」

 素早く影に身を隠したエノテラだが、諦めて明かりの下に出てくる。

 蜘蛛の体を縮めて、ひざまづいた。


 エノテラにはマールムートの視線がひどく冷たく感じられた。


「・・・ごめんなさい。千年もの間、閉じ込めて・・・ごめんなさい」


 自分の蜘蛛の体を思い、


「殺してくださいっ。・・・私はもう・・・」


「半分以上魔獣なんです・・・」

 消え入るような声で言った。


 周りの5人がエノテラを守ろうと身構える。


 マールムートは、ゆっくりとエノテラの頬に手を当てた。


「エノテラ。君は勘違いしているよ」


 とても優しい声だった。


「この千年間、君の気配を感じないときはなかった」

「僕は、神の血を引く竜だ。千年なんてほんの短い時間だよ」

「でも、人の身である君は違う」


「エノテラ」


 マールムートは、エノテラの頬を両手で包んで口づけをした。


「っつ!?」

 エノテラの黒い蜘蛛の”魔”の体が真っ白く変わる。

 人の目と蜘蛛の目に光が戻った。 


「君は、魔獣じゃない。今は僕の”眷属”だ」


「君は、”エンシェントドラゴン”だよ」

 

「僕の”竜の神気”を千年も浴びたんだ」

「”魔”に侵されると同時に、それ以上に”神気”を取り込んでる」 

「”魔”は嫌な気持ちに反応するから。君は蜘蛛が嫌いだったからね」

 蜘蛛の体を見て言う。


 動揺が収まらないエノテラ(ひとの部分)を、優しく抱きしめ、とんとんと背中を叩く。


 マールムートは、泣き始めたエノテラが泣き止むまで抱きしめ続けた。

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