シャリー
マガリは教室の椅子にだらしなく座っている。
昨日のお酒が残っているようだ。
「メアリーがギルドの用事でいないんだよな~」
状態異常治癒の加護が掛けてもらえない。
ふと横を見ると、シャリーが、特待生の貴族の男と取り巻き二人に絡まれている。
妾になれとか、平民だから言うことを聞けとか聞こえてくる。
訓練の時、シャリーの踊り子姿を見たためだろう。
「仕方ねえな~」
貴族の男が、シャリーの腕をつかんだ時点で、マガリはデコピンで後ろに半回転させた。
左手に白く、神式文字が浮かび上がる。
「そこまでだ」
「貴様~。僕を誰だと思ってるんだ。スリーモンキー家の・・・」
「シャリーは、アールヴの王族だぜ」
「いえ。王家と言われても末端の末端で・・・」
小声でごにょごにょ言っている。
「な。なに~」
男があからさまに動揺する。
次の瞬間、マガリの背筋がすっと伸びる。
「私の友達に何か御用ですか?」
誰もが聞き惚れるようなきれいな声だった。
「せ。聖女。様」
貴族の男が尻もちを着いたまま、後ずさった。
レイリアは、高貴な微笑を浮かべながら、汚れ物を見るような目で男を見る。
「ひいい」
貴族の男は泣きながら去っていった。
「容赦ねえな・・・」
”大事な友達が馬鹿にされたのです”
「あ。ありがとうございます」
マガリが手を振りながら
「レイリアが、シャリーのこと友達だってさ」
「俺もだけどな・・・」
ほんの少し頬が赤い、マガリだった。
珍しく、メアリーがいない日。




