一般人
術式士の名門貴族である、セルリー・クレンベリットは魔じわりの森に実地調査に来ている。
魔獣との戦闘は何度か経験はあるが、今回は何かが違う。
まず、リント先生は竜騎士だと聞いていたが、乗っている飛竜は戦闘力の無い荷竜のはずだ。
しかし、森の木々の枝の間を縫うように飛び、魔獣をジャベリンや、時には飛び降りて槍で倒していく。
私が密かにあこがれている、アマリリス先生だ。三文字の術式文字を使って、ウインドトルネードをウインドストームにしていた。
それよりも、休憩の時に見せてくれた、煙草を空中で花火のように爆発させたのには驚いた。
位置指定、発火、小爆発の術式を、投げた煙草に素早く掛けるのだ。
私が10年練習し続けてもできる自信はない。
周りの人の反応が鈍いのが腹立たしい。
白いライフルを持った見るからに平民という感じの女だ。
確か名前をメアリーと言った。
しかし、よく見ると着ているローブには、”福音を鳴らす者”という意味のあるベルの紋章が刺繍されている。
夜営の時、飲みすぎた生徒たちに”広域状態異常治癒の加護”を掛けていたのを見て、”聖女”だと確信した。
肌もあらわな踊り子の姿をした女だ。
確か砂漠の国からの留学生で、名前はシャリー。
紅い紐のついたチャクラムという円形の武器で、踊るように戦う。
同性の私でも、見惚れてしまった。
しかも肌に描かれた白い模様を見ていると、元気が出てきた。
後で聞くと、踊りの効果らしい。
さらに、夜営するとき、”魔除け”の踊りで、魔獣の接近を減らすことが出来るそうだ。
極めつけは、ハルバートを両手に持った黒髪の女だ。名前はマガリ。
白いガードドレスの胸には、メアリーと同じベルの紋章が刺繍されている。
しかも右目には、魔封じの眼帯。大きな声で言えないけど”魔じり”かしら。
戦い方は、無茶苦茶だった。
「がはは」と笑いながら、白と黒のハルバートを回転させながら、戦っている。
白いハルバートを持ってる手には、神式文字。
黒いハルバートを持ってる手には、多分、魔文字。
が浮かび上がっていた。
それ以上に、夕飯時の豹変には驚いた。
正に、絵にかいたような”聖女”がそこにいた。
夕食が終わると元に戻ってしまったのはなぜだろう。
想像していたのとは違う、濃ゆい実地調査になった。
濃ゆい面子が揃った。
好き嫌いを無くすためです。




