北門の戦い
魔獣たちは、魔獣使いに操られ北門に集まっている。
集まりきる前に門の前に、即席のバリケードを置けたのが幸いだ。
都市の兵士と冒険者を合わせて100人前後、20人ずつ門の外に出て交代で戦うことになった。
門の上から弓矢やライフル、術式士の攻撃術式が援護する。
バリケードを盾に何とか耐えているがじわじわと損害が出始めている。
「なぜ一気に押し寄せてこない」
「まるでこちらが疲労するのを待っているようだ」
メアリーが何度目かの、広域治癒の加護をかけた。
誰かが
「聖女だ。聖女がいる」
「そうだ。こちらは聖女が二人もいるんだ」
「それは……」
メアリーが言おうとしたとき、聖女の微笑を真似したマガリが横に並んだ。
わ ら えと声を出さずに言う。
メアリーは一回、唾を飲み込んだ後、強引に笑った。
「うおおおおおおお」
すかさずマガリがハルバート二本を上にあげた。
「いくぞおおおおお」
メアリーは、交代するために門の外に飛び出していく人のために、せめてきれいな状態で送り出そうと、広域浄化の加護を掛けた。
一時間近く経った。全員の疲労の色が濃くなって来る。被害者が増え始めた。
マガリも交代してから、膝をついて肩で息をしている。
その時、門の外から「アオーーーーーーオン」と言う狼の声のようなものが聞こえた。
「まさか、月狼の月の威嚇か」
メアリーが大急ぎで城壁の上に上がった。もうすでにマガリは城門の外に飛び出している。
外にいる人と魔獣化した月狼の周りにいる魔獣が、状態異常になってしゃがみこんだり、錯乱して走り回ったりしている。
メアリーは、広域状態異常治癒の加護を人のいる所に何回もかけた。
何とかふらつきながらも立ち上がった人たちを、マガリが門の中に逃がそうとしている。
月狼が逃げ遅れた一人に噛みつこうとした。
マガリは、肩で息をしながら、左手の白いハルバートを投げつけ、黒いハルバートを杖にして、月狼の立ちふさがる。
「ぜえっ。ぜえっ。もう駄目だぜ。これ以上」
ふらつきながらもハルバートを構えたとき、
「ドンッ」と言う音と共に、横から飛んできたジャベリンが月狼の体を吹き飛ばした。
強力な援軍が来ます。




