夕食の聖女
領都から帰ってきて数日たった。
「なあ。お前が出てくるときって、夕食の時が多くないか」
最初に人前に出たときも夕食時だった。
心の中でレイリアに聞く。
……気付いてなかったのですか?
「なにを?」
今日の夕飯のとき分かりますよ。
「? そうか」
最近、周りが慣れたのかレイリアが、ギルドの食堂に出ても静まり返ることは無くなった。
レイリアは夕食を三皿頼んだ。
「こ、これは」
「全部、俺の苦手なものばかりじゃねえか!!」
そうですよ。いつもは一皿にしていますが。
大丈夫です。アレルギーは出ていません。単純な好き嫌いです。
「あれるぎぃってなんだ」
こっちの話です。
いつも通り、ナイフとフォークを完璧に使い残さず食べていく。
「一つ聞きたいんだけど、平気なのか?」
基本、貴女と私は同一の存在です。
体にはいいんです。いいですか、体にはいいんです。大事なことだから二回言いましたよ。
「そうか……なんかすまん」
すこしずつ好き嫌いが無くなっているマガリであった。
二人はまだ、レイリアが”夕食の聖女”と周りから呼ばれていることを知らない。
食べ終わってから、2階の部屋に帰ろうとしたとき、話があるからとメアリーに呼ばれた。
この前、授けられた”魔封じ”の加護を、魔獣に掛けたらどうなるかを知りたいという。
明日、調べるために魔じわりの森に一緒に来てほしいということだ。
当然ギルドの正式な依頼として報酬も出る。
確かに、魔獣を封じ込められたらすごいことになる。
「分かった。いいぜ」
「ありがとうございます。では明日行きましょう」
そういや。魔封じの術式陣はあっても魔封じの術式はないんだよな。
右目の眼帯に縫い付けられている術式文字を、指でなぞりながら思った。
マガリさんは超偏食。




