マガリと聖女
しばらくしてレイリアとマガリが入れ替わった。
マガリに、入れ替わった時の記憶があるのかと聞くと、顔を真っ赤にして
「忘れろ。忘れてくれ」と懇願された。
心なしか元気がよさそうに見える。
これから起こる大きな騒乱について、詳しく知っているかと聞くと、レイリアは知っているが教えられないそうだ。
ほっとしたような残念なような気がする。
マガリ自体は「知りたくねえ」と言っていた。
これから時々、レイリアと入れ替わると言ったら複雑そうな顔で「そうか」と言う。
何か変わったことがあったらすぐ相談してと言ったら「分かった」と少し照れたように言った。
後に、あんなことになるなんて想像もつかなかったのである。
夕食の時間である。
いつもは、酔った冒険者たちでうるさいギルドの食堂が、静まりかえっていた。
いや一瞬前までは騒がしかったのだ。
いつもの地酒も煙草もある。ハルバートもある。
いつもより食事の量が若干多いくらいだ。
ほんの一瞬前まで「がはは」と酒を煽っていた。
「あら。皆様。さっきまで、もっと騒がしく食事なさっていたじゃありませんか。遠慮なさらずに騒いでいただいてもいいんですよ」
にっこり(←聖女の微笑)
元々、右目の眼帯をつけていても、魔性の美貌だった。
男女問わず、その場にいる人間は頬を染めた。
今は、完璧にナイフとフォークを操りながら、豆の入ったごった煮を上品に食べている。
「誰だ……」オルギがその場を代表して言う。
「レ……マガリです」
マガリが、夕食を食べ終わり、自分の部屋に帰るまで、食堂は静まりかえったままだった。
「ごめんなさい。あれには”状態異常治癒の加護”は効かないんですっ」
メアリーが何故か周りにあやまっていた。
マガリは、しばらく聖女化したとき意外、部屋から出てこなかった。
レイリア一度話しをつけようか。




